2019日本青少年代表団―友好協会分団

日中青少年交流推進年にあたり、公益社団法人日本中国友好協会(以下、(公社)日中友好協会)は、中国人民対外友好協会及び中国日本友好協会(以下、中日友好協会) の要請を受け、12月20日~12月24日の4泊5日、北京へ「日本青少年代表団 友好協会分団」を派遣した。受け入れは「北京市人民対外友好協会」。

日本の大学生が中国の大学生と実際に交流することで相互理解を深め、中国の生活文化に直接触れ、より客観的に中国を理解することを目的とする。各都道府県の日中友好協会が学生を募集し、74大学の184名が書類審査を経て団員に選抜された。随行は岡﨑温団長(当協会理事長)、大薮二朗副団長(当協会常務理事)、伊藤洋平秘書長(当協会理事)、山岸清子副秘書長(当協会事業部長)、事務局12名の計16名。今回は羽田空港発着100名、関西空港発着100名に分かれての総勢200名(構成6班)の訪中団となった。

関西空港発着組は前日、羽田空港発着は当日に研修会を行った。研修会では今回の訪中団に関する説明を受けた後、共に訪中する仲間たちと、この訪問の目的や期待することなどを班別に話し合った。

 

<20日>

関西組は北京に到着してから移動のバス内でガイドさんから北京の様子をレクチャーしていただき、車窓から見える活気ある北京の景色を楽しんだ。昼には香辛料香る本場の北京料理を食べ、その後首都博物館を見学した。

羽田組は北京到着が夜10時を過ぎていたが、北京市対外友好協会の高双進副会長はじめ、職員の方々が空港まで迎えにきてくださり、花束と共に熱烈な歓迎を受けた。

 

<21日>

北京城市学院航天城キャンパスを訪問した。同大学には日本のアニメを研究している学科もあり、団員たちは興味深く副校長先生の学校案内に聞き入っていた。その後8つのグループに分かれ、切り絵や中国書道、中国画、卓球など中国文化の体験プログラムに参加。休日にも関わらず北京城市学院の学生も参加し、各グループ和気あいあいと交流を楽しんでいた。学院から帽子をプレゼントしていただき、全員で帽子をかぶり集合写真を撮った。

▼「筆を持つことはめったにないのでとても新鮮。一から書き方を教えてもらいました」書道に挑戦した奥田啓太さん(愛知工業大学)

▼「中国語の授業で習った文法や単語、会話表現を使うと、それに応えてくれることがすごく嬉しかった」永原凛太郎さん(九州大学)

 

午後は天安門広場と故宮博物院を見学した。スケールの大きさ、歴史背景の深さにみな感動した様子で熱心に写真を撮り、さらに現地の人や外国から来た観光客とも交流し、有意義な観光となった。

▼「中国の歴史や芸術は一応勉強しました。でも実際に故宮博物院を訪れて、芸術品や建物の美しさはやはり本だけでは分からない、実物の美しさは全然違うものだと感じました」北川真帆さん(藤女子大学)。

 

夜は長富宮飯店で歓迎会が催された。日本の学生を代表して長野県立大学の学生がパプリカのダンス、東京都日中友好協会推薦の団員が「故郷」の合唱を披露した。中国の学生のパフォーマンスは電飾を使ったヲタ芸や中国舞踊など多岐にわたり、そのレベルの高さにみな驚いていた。

▼「日本人とこんなに気軽に交流できるとは思っていなかったので、とても嬉しい!」北京城市学院日本語アニメ学科の左行方さん

 

<22日>

午前中は万里の長城へ。長城がある地域は北京中心地に比べるとかなり気温が低く(-4℃)寒さが心配されたが、団員は元気に長い階段を登り、長城から見下ろす絶景を楽しんだ。

午後は天壇公園を見学。祈年殿の構造や色使いの説明を受け、中国文化を感じることができた。園内では現地のご老人たちがゲートボールやカードゲームを楽しむ様子が印象的だった。その後訪れた紅橋市場では、日本ではなかなかできない「値切り」を体験し、それぞれ家族へのお土産など買い物を楽しんだ。

 

<21日、22日夜>

宿泊先の伊藤秘書長の部屋で、中国への留学に興味がある団員を対象に急遽留学相談会が開催された。両日合わせて30名以上の団員が参加し、中国留学経験が有る随行員3名がアドバイザーとなり、学生たちの質問に答えた。留学の際の大学選びのポイントや日中友好協会での活動、社会人としてのキャリアの関連などについて説明した。

▼「審査に合格すれば公費で1年間中国に留学する道があることを知り、利用したいと思った。代表団に参加して、将来中国で勉強したいという目標ができた」三浦有莉佳さん(岡山商科大学)

 

<23日>

午前中は起業関連施設「优客工场」を訪問。若者の起業支援サービスを行う企業が運営する施設で、多数のスタートアップ企業がここで起業しているとのことだった。広々とした施設内は清潔感があり、顔認証システムでのゲート管理や昼寝ができるカプセル型ベッド、AI管理の無人コンビニなど、先端技術満載の空間だった。「普通の観光旅行では入れない場所。訪中団だからこそ来れた」と感想を言う団員もいた。団員が創業者の方に質問できる機会を設けていただき、事業の資金繰りや働き方の仕組み作りなど突っ込んだたくさんの質問が相次いだ。これから就職を控える学生にとって大変有意義な時間であった。

▼「中国では政府が企業や若者の事業に積極的に出資しているのがすごい所。その仕組みを知ることができて非常に勉強になりました」栃川彩奈さん(東京海洋大学)

 

午後は日本の国会議事堂にあたる「人民大会堂」で日本の学生500人、中国の学生500人が集合し「日中青少年友好交流会」が開催された。日中の学生がオーケストラの演奏、合唱や少林寺演舞、中国舞踊などを披露した。大会堂の荘厳な雰囲気の中、日中青少年の新時代を迎える貴重な瞬間に立ち会えたことに団員たちは感動していた。直接中国の学生と交流するプログラムはなかったが、会の前後では団員が積極的に自分から中国の学生に話しかけて連絡先を交換し、今後もやりとりを続けようと約束をする場面も見受けられた。

▼「日中千人交流大会で、交流したいと望んでいる人が1000人もいるのを目の当たりにして、本当に見方が変わりました。私たちの世代から変わっていく希望を持ちました。どんな国にもいい面と悪い面があるから、両方知ることで交流や理解を深めていけるのではと思っています」。瀧澤萌さん(長野大学)

 

北京最後の夜は、北京ダックの老舗『全聚徳』で最後の夕食会が開催された。本場の北京ダックを初めて食べる団員も多く、美味しい料理の数々にみな満足した様子だった。

 

<24日>

羽田組は午前便での帰国のため、早朝の出発となった。羽田空港に到着した後も、名残惜しそうに団員みなで話し込む姿が見受けられた。

関空組は、夜便で帰国だったため、午前は北京市計画展覧館を見学。同館では1/750のジオラマや展示物で北京市全体の様子や、北京の歴史を学ぶことができる。団員たちはジオラマを見ながら今回訪れた思い出の場所を振り返っていた。その後空路関空に戻り、各自帰路についた。

▼「帰国したら中国語を勉強したいと思います。今までは、資格や試験のために語学を勉強していましたが、学ぶことで人との交流が広がるのだと気がつきました」村田裕樹さん(梅光学院大学)

途中体調を崩した団員も数名いたが、大きなトラブルや事故もなく、200名の大訪中団は4泊5日の北京滞在を無事に終えた。今回の訪中を足がかりに、各団員たちが帰国後さらに日中友好交流の輪を広げてほしいと願う。

この事業にご協力いただいた全ての方々に厚く御礼を申し上げます。

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