温故知新を実行する雑誌社
人民中国は今年で70周年を迎える歴史を持つ中国の情報誌であり、また中国唯一の日本語総合月刊誌です。座談会の際にお話くださった内容によると、人民中国の歴史は時代の移り変わりと読者の需要に合わせて、かたい内容からやわらかい内容へ、紙からデジタルへといった変化を辿ってきたそうです。個人的には、革命期である1970年代にもプロパガンダ的な内容ではなく、中国の真実を伝えてきたという点と、その後も記者の皆さんが自らの足、自らの目を使って取材した内容を掲載しているという点が印象的で、そこに人民中国のプライド・真髄があるのだなと思いました。
現在は読者の年齢層が高い方に偏り始めているとのことで、私たちは若者として中国の何に注目しているのか・興味があるのかなどの話題を中心に交流させていただきました。今の人民中国は、若者の読者を獲得するため漫画風のイラストを多く取り入れたり、流行の歌の歌詞や映画のセリフのスクリプトを掲載していたり、SNSを活用して広報活動をしたり、さまざまな工夫をされています。人民中国で連載していた漫画『血と心』がアニメ化されたとのお話もありました。『血と心』は二次世界大戦終戦後に中国で人民解放軍に入隊した日本人の人生が描いた物語です。中国の動画アプリ・ビリビリ(BiliBili)で見ることができるようなので、私もチェックしたいと思います。
その後、誌面担当と動画担当、それぞれ数人ずつに分かれて職場体験をさせていただきました。
私は動画担当のグループに参加しました。日中英3言語のナレーションやアナウンスをされている京盛さんがインタビュアーとなって、私たち留学生に中国に来て感じたことについて質問をするという体験内容でした。本格的なセットの中でカメラを意識しながら話すのは緊張しましたが、とても貴重な経験をさせていただきました。動画班の皆さんは、普段はカメラを持って様々な場所に取材に赴いて動画を制作されています。少数民族を取材してその文化を伝えたり、はたまた大学の文化祭を取材することもあるそうです。
今回の訪問全体を通して、長い歴史の中で保ってきた伝統を重んじながらも、その実績にあぐらをかかず時代に合わせて変化し続ける、まさに温故知新な姿勢をもって仕事をしている人民中国雑誌社の皆さんに感銘を受けました。私も皆さんのように、変化を恐れず前に進む気概を忘れずにいたいと思います。