この留学レポートの表題を見たとき、公費留学に応募した時のことを思い出しました。大学時代に第二言語として中国語に出会い、大学を卒業し就職をしてからは中国語に触れる機会がほとんどありませんでした。職業柄外国人と接する機会もあり、社会人として生活していく中で様々な新しい世界を見ていくと、語学の必要性を徐々に感じていた時期でした。公費留学生として中国留学が出来たことはとても意味のある期間であったと感じます。現地での私の日中友好活動は決して多くはありませんでしたが、いくつか取り組んだ活動を共有したいと思います。
まず日中友好活動としての大部分を占めていたものは、中国人本科生の友人が出来たことでした。友人は日本に関心あり、日本語も勉強している華東師範大学の学生でした。日本人としてのアイデンティティについて考えたり、中国、中国人の魅力を、関係性を築く中で見つけることが出来ました。私は日中友好活動に対する認識は留学前と後で大きく変わりました。留学前は何か大きなことを成し遂げなければならない、そんな印象を抱いていました。日本と中国、隣接する国の友好活動は何か特別なこと、後に残る活動でなければならないと。しかし、実際は日常に溶け込んでいる小さなことの積み重ねなのではないかと感じるようになりました。
日中に関わらず私たちはバックグラウンドが大きく異なる相手に出会った時、無意識に一線を引くような、今までの当たり前、慣習と照らし合わせて接することがあるように感じます。しかし、そういった見方は関係性によって良い方向に変わると思っています。個人と個人の関わりから友好関係が始まるのだと改めて実感しました。中国人の友人の他、大学が新学期の時期に開催してくれる、中国人本科生との交流会にも参加しました。中国人学生の印象は、皆日本について知っていることがたくさんあるということでした。自分の国に対して興味関心を持ってくれるという姿勢は、友好関係を築く大切な要素です。現地での留学生活は4ヶ月しか過ごせませんでしたが、自分の言動が日本の印象を決めるということも学んだ期間でした。コロナウィルスによって世界的なパンデミックの中で現地での留学が難しくても、学んだことを忘れてしまわないように個々の接点を大切にしていきたいです。