「留学する前のイメージと実際に留学してみて気づいたこと、新たな発見」若林 郁未(華東師範大学)

昨年9月に留学生活をスタートさせてから早くも4ヶ月が経ち、この地で初めて西暦の年越しを体験しました。中国では春節が正式な年越しとされているため、西暦の年越しには特別な料理を食べたり、大々的に祝ったりする習慣はないようでした。私自身も12月31日と1月2日に授業があり、年末年始といっても1月1日だけがお休みだったため、お正月休みはない感覚です。

ただ、比較的若い人たちは年越しを友達同士で祝ったり、お寺へ参拝したりする姿も見られ、新旧の習慣が入り混じっているように感じました。

 

今回は、この4ヶ月間を振り返り、留学前のイメージと異なる新たな発見について綴っていきたいと思います。

 

上海市内にある龙华寺というお寺の様子。1月1日は参拝客で賑わっていました

 

上海にある玉佛寺というお寺。縁結びに縁があるお寺ということで若い女性がとても多かったです。

 

中国の学生の真面目さに驚いたこと

留学前、中国の大学生活については漠然としたイメージしか持っていませんでしたが、実際に留学してみると、学生の真面目さに驚くことが非常に多いです。もともと、中国では競争が激しいため中高生は非常に熱心に勉強するということは知っていたのですが、大学に入るとその緊張から解放され、自由な時間を楽しむ人が多いのではないかと思っていました。しかし、想像とは異なり、中国の学生は非常に勤勉で真面目だと実感しました。

私が出席している大学の授業では、欠席者も遅刻者もほとんどいません。授業の出席を取るわけではないですが、毎回座席が全て埋まるため誰一人欠席していないことがわかります。また、授業の開始前や休み時間は自由に会話しても良い時間ですが、多くの学生が授業の準備をしており、とても静かで誰も会話をしていません。なお、外国人のみの中国語の授業ではり、欠席者や遅刻者がそれなりに見られます。また、授業前後は教室内が非常に賑やかで、これが中国の学生特有の傾向であることを強く感じました。

また、現在私がこのレポートを執筆している大学図書館では、朝早くから席が埋まり始め、午後になる席を見つけるのが大変なほどの混雑状態となります。授業時間以外も非常に熱心に勉強する学生が非常に多いことがわかります。

私のとっている授業では大学4年生が多く、ちょうど就職活動や院試の時期にあたります。今は将来の進路に向けて不安定な時期であり、とてもナーバスになっている人も見受けられます。中国では現在、就職難のタイミングにあり、多くの学生が就職活動に強い不安を抱いている印象を受けます。真面目で本当に優秀な学生が就職できるかを非常に心配している姿を見ると、中国の競争の厳しさを強く感じます。

満席の図書館の様子

 

現地に身を置くだけでは語学力はあまり向上しないこと

語学力の向上についても、留学前の期待と現実との間にギャップがありました。当初は、中国での生活に身を置くだけで自然と中国語力が伸びていくと楽観的に考えていました。確かに、日本にいた時と比べると中国語を使用する機会は飛躍的に増え、日常会話の語彙は増えていると思います。しかし、実際の語学習得はそれほど単純ではありませんでした。新しい表現やフレーズを積極的に学び、それを実践で使用することを心がけなければ、使い慣れた単語や表現の範囲内で会話を済ませてしまい、語学力の進歩が停滞してしまうことがわかりました。また、語彙力が低くて伝えることに苦戦していても、相手が気を利かせて意図を読み取ってくれることで、なんとかコミュニケーションが成り立ってしまう場面も多々あります。このままでは期待していたほどの語学力の進歩は得られないと感じ、1月にHSKK高级を受験することにしました。試験勉強を通じて、現在の自分の実力を正確に把握するとともに、普段使用していない語彙や表現を増やし、豊かな中国語コミュニケーション能力を身につけたいと考えています。

 

この留学経験を通じて、語学力の向上には「その言語環境に身を置くこと」に加えて、「意識的な学習と実践」が不可欠だということを実感しています。

今後は、より積極的に新しい表現を学び、実践する機会を作っていきたいと思います。