「留学する前のイメージと実際に留学してみて気づいたこと、新たな発見」里和 麟太郎(浙江大学)

留学生活も四ヶ月目の後半に差し掛かっている。季節は冬に変わり、寒さが厳しくなった。とはいえ中国南方の気候は、日本と比較してさほど変わるものではなない。したがって寒さで過ごしにくいということはない。先月下旬には寧夏回族自治区の銀川を訪問する機会があったが、北方の都市はさすがに寒かった。今頃はもっと寒くなっていることだろう。

さて、今月のテーマは表題の通りである。筆者は大学生のころに初めて中国へ訪問しており、以降何度か訪問している。よって真新しさを感じることは多くない。とはいえ、今回の留学で真新しかったこともある。スマートフォン決済の浸透具合が想像以上であったことだ。日本でもスマートフォン決済が普及しつつあり、財布を持たない人も増えてきている。しかし、スマートフォン決済が使えない店もまだ多く、財布は必要である。しかし中国では現金の出番がほぼない。以前中国を訪問した際は現金払いで問題なかったこともあり渡航前は現金も多少は使えると想定していたが、現金を使用したのはほんの数回である。中国のスマートフォン決済サービスといえば「支付宝(アリペイ)」が有名である。支付宝は買い物以外でも必要である。支付宝一つでシェアサイクルやタクシーの利用、飲食店での注文すら完結してしまう。また、自動販売機や宿舎の洗濯機を利用する際の支払いにも不可欠であり、地下鉄を利用する際にはアプリ内で設定しておけば改札口で画面のQRコードをかざすだけで乗車できる。電子化の進み具合は事前の想像以上であった。

また、大学生活についても新鮮な発見があった。中国と日本の大学の違いは寮の有無程度だと思っていたが、実際には違いが大きいように思った。中国の大学においては、夜まで授業が設定されている。日本の大学は夕方に授業が終わるのが一般的だと思われるが、中国の大学では普遍的に夜の時間帯に授業が行なわれている。中国の大学生は多くが宿舎で生活しているからこそできるのだと思う。同時に、中国の大学キャンパスのセキリュティの厳しさに驚かされた。日本の大学は門が開け放たれており様々な人が入ってくる。しかし中国の大学のキャンパスは関係者や許可を受けた人しか入ることができないようになっているようだ。浙江大学紫金校校区では、キャンパスに入る際に顔認証やカードのスキャンが必要である。筆者が以前中国の大学を訪問した時はこのようになっておらず、変わりように驚いた。中国において、大学という場が重要視されているように感じられた発見であった。

 

シェアサイクルはキャンパス内や町中の至るところで見ることができる。広いキャンパス内の移動によく利用されている。

車体に付いているQRコードを支付宝でスキャンすると利用することができる。

洗濯機横のモニターを操作すると、QRコードが出てくる仕組みになっている。

自動販売機。買いたい飲料のボタンを押すと、モニターにQRコードが出てくる。

キャンパスの入り口。顔認証ゲートがある。