「留学する前のイメージと実際に留学してみて気づいたこと、新たな発見」小澤 望乃(浙江大学)

中国に留学する前、私が抱いていた中国のイメージは、伝統的な文化と急速な近代化が融合した国というものでした。故宮や万里の長城のような歴史的な建造物が豊富である一方、上海や深圳のような大都市は最新の技術と経済発展を象徴しているという印象が強くありました。しかし、事前に本やネットで得た知識だけでは分からないことが多く、実際に現地で生活を始めてから、五感を通じて初めて得られる気づきがたくさんありました。

 

まず驚いたのは、中国の多様性と広大さです。留学前は中国全体を一つの「文化圏」として捉えていましたが、実際には地域ごとに言葉、食文化、生活スタイルが大きく異なることを実感しました。同じ中国語でも、北京の発音と広州の発音、さらには四川の方言では、聞き取れないほど違いがあります。私が生活している杭州でも、年配の方が話す方言に戸惑うことがあり、日常会話の中で言葉の壁を感じる瞬間がありました。このように、地域ごとに異なる特色を知ることで、中国という国をより深く理解する楽しさが広がりました。さらに、食文化の違いに触れることで、味覚や食の多様性に対する理解も深まりました。

 

留学中、特に印象的だったのは現地の人々の親切さと温かさです。最初は言葉や文化の違いに緊張していましたが、中国人学生たちは積極的に交流を求めてくれました。彼らは、日本文化にも強い関心を持っており、私が日本の話をすると熱心に耳を傾けてくれることが多く、とても嬉しかったです。彼らとの交流を通じて、言語や文化を超えて、友情が築ける喜びを感じました。日常の何気ない話題を通じて共通点を見つけることができ、異なる文化でも理解し合えることができるということを実感しました。

 

さらに、中国の教育制度や社会の考え方も非常に興味深かったです。中国の大学では、教室でのディスカッションが盛んで、学生が自分の意見を積極的に述べる場面が多く見られました。日本の「和」を重視する文化とは異なり、個人の意見を明確に伝えることが重視されており、その姿勢に刺激を受けました。また、授業の中で自主性が求められ、自分で考え、調べ、発言する力が鍛えられることに気づきました。私にとって新鮮であり、自己表現や意見交換の重要性を学びました。授業後のディスカッションやグループワークでは、他の学生と異なる視点を交換し合うことができ、視野を広げる良い機会となりました。

 

留学前のイメージと実際の体験には大きなギャップがありましたが、そのギャップこそが私にとって貴重な学びとなりました。中国の広大さや多様性、人々の考え方に触れることで、多文化理解の重要性を強く実感しました。

 

クラスメイトと中国人の友人と一緒に出掛けた際に撮った写真。お互いの国の文化を話し合い、楽しみながら学べる時間です。

 

日本語学科の授業に参加させていただいた時の写真。まず初めに日本人留学生が自己紹介をして、それぞれグループに分かれて日本の文化、中国の文化について話し合いました。