「11月月次レポート」石橋 肇子(北京師範大学)

今回は、今月中国で見つけた興味深い点について書こうと思う。11月のテーマである、中国の流行については、私が知っている夜骑や汉服については他の奨学生の方が既述してくださっており、また、その他の流行についてはあまり理解していないため、このように自分でテーマを設定することにした。

 

1つ目は中国の自動車のナンバープレートの色についてである。北京にいると様々な色のナンバープレートを見かける。その中でもよく目にするのは、「青」のナンバープレートと「白と緑のグラデーション」のナンバープレートの2種類である。白と緑のグラデーションのナンバープレートはハイブリッド車や電気自動車といった新エネルギー車に用いられるもので、2016年から導入されたものである。青のナンバープレートは最も一般的なナンバープレートで一般人の車両に、白のナンバープレートは軍隊や警察車両、裁判所の車両に使用されているそうである。そのため、青のナンバープレートの新エネルギー車は、白と緑のグラデーションのナンバープレートが導入された2016年以前に購入されたもの、ということになる。こうした車の持ち主は、中国政府のNEVへの補助金がなかった時期に購入された車である可能性が考えられるため、比較的裕福な人であるとも考えられるそうで、とても興味深い視点だと感じた。調べてみたところ、他にも黒や緑など様々な種類が存在するようである。日本とは異なった分類の仕方でとても面白いと思った。

 

2つ目は、今月大学が主催する中国企業の見学に参加したことである。先日、中国の大手EC企業の1つである京东の本社を見学した。設立は1998年と若い企業であるにも関わらず、事業はグローバルに展開されており、また、EC事業のみならず、航空事業など多岐に渡る分野で活躍している。社内は、社員食堂やカフェ、コンビニなど、施設が充実していた。また、京东本部の敷地内には、社員の住居から商業エリア、更には幼稚園まであることを知った。つまり、会社の敷地内で生活ができる、ということである。これは、大学の敷地内の寮に暮らし、買い物から食事まで構内でできる中国の大学生活に非常に似ていると思った。私の大学の敷地内には病院に美容院、ネイルサロンまで存在する。大学内で生活を完結させることが本当にできてしまうのだ。人口の多い中国だからこその文化なのだろうと思うが、安く便利に生活できる一方で、個人的にはこの生活が理想的だとも感じなかった。どこで暮らして、どこでものを買い、どこで何を食べるか、といった生活における様々な選択が、こういった状況では、与えられたものの中から選ぶという受動的なものになりかねないと感じたからだ。自分自身、今中国で寮生活を送る中で、キャンパス内での生活を享受しているが、同時に閉鎖的であるとも感じる。最近はSNSにおいても、リールといった、能動的な選択ではなく受動的に流れてくるものを視聴するものが増えてきたと思う。これもまた、便利で、かつ、楽である一方で、選択する自由を自主的に手放しているとも言えると思う。自由と便利は完全に相反するわけではないが、釣り合いを見つけるのは難しいことだと、今回の京东見学を通して考えさせられた。

 

12月は部活の大会や期末考査と、節目となるようなイベントが多くある。これまで積み上げてきたものを発揮できるよう、精一杯取り組んでいきたい。

 

京东本部の敷地図

 

先日日本の大学から教授がいらっしゃったため、通訳を兼ねて様々なイベントに同席させていただく機会があった。中でも、日中の大学の先生方のみのお食事会に参加したのは、中国の文化だけでなく、礼儀作法やマナーを学ぶ貴重な経験となった。