「山東師範大学での生活」戸田有亮(山東師範大学)

私が所属する山東師範大学は山東省の省都である済南に位置する。千佛山と長清湖の2つのキャンパスに分かれており、ほとんどの留学生が居住しているのは千佛山キャンパスである。

済南市の中心からほど近い場所に位置するため、中心街へ遊びに行く場合などには便利であるが、長清湖キャンパスと比較すると各種設備に年季が入っているうえに、設置されている学院も少ないのでやや寂しい。

しかしながら学生食堂はやけに気合が入っており、規模で勝る長清湖に劣らないほどの豊富な店舗とメニューが揃っている。留学に来てから2ヶ月強が経過し、毎日いろいろな食物を体験するように心がけているが、全ての食を体験するのは不可能だと思うほど食事に関しては選択肢が多い。

それもそのはずで、比較的小さなキャンパスにも関わらず学生食堂が4箇所も存在するのだ。加えて、その4箇所の建物内ではさらに数十軒の飲食店も営業している。

「民は食を以て天と為す」という言葉があるように、中国人の食に対する愛の深さをうかがい知ることができる。

 

毎日の授業は朝8時20分から11時45分までである。

基本的に午後の授業はなく、午前中の授業が終わって上述の学生食堂で食事を楽しんだあとは寮に戻ってボーッと無為に過ごすことが多い。

何か有意義なことをしたほうが良いとは思うものの、ルームメイトと一緒に部屋を模様替えしたり、様々な生活用品を買い込むなどして部屋を快適すぎる環境にしてしまったため、なかなかそこから出る気持ちが起きないのである。

 

最近の大きな出来事と言えば、折りたたみ式の浴槽を買ったことである。インターネット通販サイト「淘宝網」で購入したもので、100元強であった。

寮の部屋にシャワーは併設されているものの、浴槽はない。

個人的には入浴しないと身体の汚れが取れた気がせず、留学に来て以来それが不満であったのだが、この買い物によってようやく自室で入浴できる環境を手に入れた。

 

留学に来ているのはもちろん学修するためであるが、慣れない異国での生活に精神的な不調をきたしたり、学修する意欲が低下してしまうこともあるだろう。

実際に私も、中国で生活していく中で困難に直面し、気分が晴れない時があった。留学は短期戦ではなく、数ヶ月以上にも亘る持久戦である。

長く学修を続けていくために、美味しいものを食べ、よく眠り、楽しいことをして過ごす時間を持つことは自分の英気を養うためにも必須ではないだろうか。そう信じて今日も夕方から風呂に入って青島ビールを飲む。

 

山東師範大学千佛山キャンパスの正門を入ってすぐにある毛沢東主席の銅像。
写真は毛主席の命日に撮ったもので、花環が捧げられている。こうした変化が日々起きているため、キャンパス内の探索も楽しい。

学生食堂で一番美味しいと思う料理、黄燜鶏。通常は米飯とともに食べる料理だが、写真のように小麦粉を使った主食と併せても美味しい。価格は15元。

ある日の昼食。羊の内蔵のスープ、奶黄包というデザート3つ、豆乳の三種類を買っても20元以下と手頃な値段。

文中で取り上げた折りたたみ式の浴槽。絵柄、サイズともに成人男性には合わないが、入浴ができるだけで非常に嬉しいので問題はない。

寮の洗濯機。数十人に対して2台しか無いため、なかなか使える順番が巡ってこないことも。
また、派手な音を出しながら頻繁に壊れている。私の部屋はランドリールームの隣にあるため、故障するたびに機関銃のような音を聞かなければならない。