中国政府奨学金をいただき、9月から1年間、上海の華東師範大学社会学部への留学を控え、新たな学びへの期待に胸を膨らませています。大学卒業後、社会人経験をした後に改めて学び直しの機会として中国を選んだ経緯と、この留学に向けた準備や思いを綴りたいと思います。
私が中国のビジネス環境や社会構造に強い興味を持つきっかけとなったのは、コロナ禍での中国の対応でした。パンデミックに直面した際の、スピード感のある意思決定と徹底的な実行力に強い印象を受けました。その対応には賛否両論があることは承知していますが、危機に直面した際の迅速な判断とそれを社会全体で徹底して実行する力に、これまでの私の経験とは全く異なるアプローチを感じ、中国への興味関心を抱くきっかけとなりました。
その後、自身のキャリアにも変化がありました。会社経営などの仕事をひと段落させたタイミングで、人生の次のステージに向けた準備として、もう一度学び直したいという強い思いを抱くようになりました。そして、学び直すのであれば、これまでの日本での経験とは全く異なるコンテキストにおける意思決定プロセスや実行力を学びたいと考えるようになりました。そこで浮かび上がったのが、急速な発展を遂げる中国での留学という選択肢でした。
すでに一定の年齢を重ねての留学となるため、限られた留学期間で最大の効果を得られるよう、留学準備にあたってはまず言語面での強化に重点を置きました。HSK6級は取得済みでしたが、机上の読み書きは向上できたものの、実際の会話力に課題を感じていました。そこで、実践的なコミュニケーション能力を高めるため、積極的に日常生活の中で中国語を使う機会を作りました。例えば、地元の中華料理店へ通い、中国人の店員さんに勇気を持って中国語で話しかけてみたり、公園で出会った中国人親子と親しくなり、食事を共にしながら会話を楽しんだりしました。また、中国人の友人知人には極力中国語で会話するのを手伝って欲しい旨を伝え、協力してもらいました。これらの経験を通じて、教科書だけでは学べない生きた中国語や、文化的なニュアンスを学ぶことができました。さらに、小红书やドラマを視聴し、楽しみながら日常的な中国語表現に触れることで、単語や言い回しを習得するよう試みました。
また、留学後の授業についていけるよう、毎週3時間の中国語レッスンの受講や、中国のニュース・経済ドキュメンタリー等の視聴に励みました。特に、社会学や組織論に関する中国語の専門用語の習得に注力し、中国の学術論文や書籍を原文で読解する練習も進めてみました。
中国語学習のために見ていたドラマで一番面白かったもの。
成都が舞台なので少し成都の訛りがあり聞き取れない部分がありますが、内容も面白くはまりました。
中国を代表する社会学者、费孝通の代表著書。原文はまだまだ難しく感じますが、少しずつ読み進めました。
微信读书という読書アプリでは無料で読める本がたくさんあり助かります。
この1年間の留学を通じて、大学での講義研究活動に真摯に取り組むことはもちろん、可能な限り中国の企業等へのフィールドワークも実施したいと考えています。これまでの経験を生かしつつ、中国特有の組織管理・運営の特徴を学び、グローバルな視点を持ったリーダーシップのあり方を探求したいと思います。
1年間の留学期間を最大限に活用し、学術的な成長と実務面の視野拡大の両立を目指します。留学を通じて得た知識と洞察を、将来的には日中両国の相互理解の促進と、危機に強く、変化に柔軟に対応できる組織運営やキャリア構築に生かしていきたいと考えています。また、私自身のキャリアにおいても、この留学経験を新たな挑戦の糧とし、グローバルに活躍できる人材としての成長につなげていく所存です。