中国はデジタル化が高度に発展した社会である。そのため、外出時にもスマートフォンさえ携帯すれば大抵のことは問題なく行えると言えるだろう。
したがって、渡航前の準備にて私は中国でも使用可能なSIMカードや中国での生活に欠かせないアプリケーションに重きをおいた。
中国で使用可能なSIMカードは各種存在する。
例えば一週間や一ヶ月などの短期間だけ利用できるものや、半年以上の長期に亘るもの、通信容量の違い、SIMカードあるいはeSIMなどである。
現地の空港または大学に到着してすぐに中国の携帯電話番号が付帯したSIMカードを購入するのであれば、短期間の利用に限られ通信容量も少ないSIMカードで問題はないと考えられる。
しかし私は現地到着後はさまざまな手続きに忙殺されると予想し、日本において中国の携帯電話番号が付帯したeSIMを購入した。かつては中国でしか買えなかったようであるが、現在は日本でも購入することができる。
そうしたことで、大学到着直後の煩雑な手続きを一つでも減らすことができた。
なお、Googleなどのサービスを利用したい場合、別途VPNを用いるかVPN付きのSIMカードを用いることが必要だ。無料のVPNは通信速度が不安定な場合が多いため、有料のVPNを契約して使用したほうが良いだろう。
アプリケーションに関しては次のようなものをインストールすることを推奨する。
Wechat PayやAlipayなどのキャッシュレスサービス、百度地図や高徳地図などの地図、携程旅行(Trip.com)などのホテル予約や航空券・高速鉄道乗車券に用いるものだ。
キャッシュレスサービスに自身のクレジットカードを登録しておくと、中国の銀行口座が無くても使用可能だ。
なお、上記以外の中国のアプリケーションは携帯電話番号を利用したSMS認証を求められる場合が多い。それゆえやはり中国の携帯電話番号を早めに入手しておいたほうが快適だ。
先述したように大学到着後は数々の手続きを行う必要がある。
例えば入寮の手続きや、銀行口座の開設、居住登録、身体検査などだ。
留学期間や留学先によって手続きは異なると思われるのでそれぞれを詳述することはしない。しかしながらどの手続きにも共通して言えることは、交渉力が不可欠ということである。
言い換えると、なにか問題が生じてもどれだけ食い下がれるかで解決の成否が分かれるのである。
筆者の銀行口座の開設を例に挙げると、当初は「11桁の個人番号がないと開設ができない」と言われた。
しかしながら日本のパスポートや運転免許証、住民票を取り出して「これが今持っている全部の書類です。これだけでなんとかしてください」と1時間ほど粘ったところ、見事に開設することができた。
銀行口座の手続きだけではなく、居住登録や入寮申請でも、少しでも疑問点や問題点が生じたら自身が納得するまで食い下がって交渉あるいは質問を行った方が良い。一人だけで交渉するのが不安であれば、他の留学生に声をかけて助けてもらうのもよいだろう。
しかしながら、そのような場合でも主導的に「何時にどこに来て何を助けてほしいが、可能か」などと交渉する必要があるため、やはり交渉力は重要だ。