「中国面白紀行」 中溝 明佳(清華大学)

1月から2月中旬までは学校も休暇に入り帰郷や帰国する学生も多い中、私は帰国せず
に友人たちと中国に留まり、中国国内を巡る旅を計画した。候補地の意見を出し合った結果、
北京を基点に北方(ハルビン、長白山)と南方(武漢、張家界、重慶)の名所に決まった。
今回は北方について詳しく記述する。特にハルビンは一番印象深かった。気温氷点下23度
を初めて体験し、暖房のきいた列車からその地に降り立った瞬間、凍った空気が肌で感じら
れ不思議な感覚になった。一度手袋を外すと手全体の感覚がなかなか戻って来ず、恐怖心を
覚えた。ロシア風建築が多く見られ、1900 年代の国際貿易港としての発展史を追跡した。
中でも有名な聖ソフィア大聖堂は、ハルビンの歴史やロシア正教会の影響について学ぶこ
とができる文化遺産となっている。厳粛で静かな空気の中、天井が高くステンドグラスから
差し込む光が神聖な雰囲気をより一層引き立たせていた。
世界三大雪まつりの一つとされるハルビン氷祭りは目的の一つであった。非常に規模が大
きく、昼間の賑わいもさることながら、日暮れが早いこの地は暗くなり LED でライトアッ
プされると、より一層氷の美しさが際立つ。会場の造形物が全て氷でできているのが信じら
れないほど、そこには壮大な氷の世界が広がっていた。この時期、世界中から人々が集まる
理由がよく分かる。ただひたすら氷の造形の美しさに心奪われ魅力を感じた。

 

聖ソフィア大聖堂の外観

スマホで写真を撮りたくても外が寒すぎるせいか動かなくなってしまうことも多々あった

 

長白山では、分厚い氷で覆われた場所に直径10センチほどの穴をあけ、そこに釣り糸を垂

らして魚釣りをした。テントの中でみんな向かい合って座り、何匹釣れるか競争した。日本
の氷上ワカサギ釣りと同じようなもので、次々と釣り上げまさかの同じエサで20匹獲得
した。それから貴重な命の恵みを有難くいただいた。

 

釣った魚はその場で焼いてくださった

 

南北を巡った最後に北京で迎えた春節は、都市全体が赤い装飾に包まれるダイナミック
な文化体験となった。大学内では大晦日にイベントブースが設置され、帰省しなかった学生
を楽しませてくれた。元旦は、中国工艺美术馆へ春節特別展示を見に行った。この期間は地
坛公园、龙潭公园などで行われていた計5か所の春節イベントに参加することができた。辺
り一面赤色の装飾で染まった町。赤は力や情熱、自信を象徴する色だが、集まった人々の熱
気と重なり、自然と活気がみなぎる空間へと変化していた。北京で春節を過ごし文化体験を
することは目的の一つであったため、貴重な経験ができて満足している。

 

中国工艺美术馆の展示

春節イベントの様子、どの会場もこのような雰囲気であった