「中国人との交流(出会い方、交流の仕方)」大門 紗也(青島大学)

インタビューをするため

中国人に出会うのは簡単です。街を歩けばほとんどが中国人です。あとは話しかければいいだけ…、そんなこと頭で分かっていても、中々行動には移せません。見知らぬ人に急に話しかけるのはとても勇気がいります。

口語クラスの発表のために、中国の教育問題をテーマにインタビューする必要があったので、マクドナルドでインタビュー対象となりそうな親子が来るのを待っていました。隣にちょうど小学生ぐらいの子どもと母親が座ったので、話しかけようと思ったのですが、いざ声をかけようと思うと急に緊張してきて、心臓がドクドクするのを感じました。「ポテトを食べ終えたら絶対に話しかけるぞ」と自分を奮い立たせ、頭の中でイメージトレーニングを何回も繰り返し、ようやく話しかけた時には、その親子はほとんど食べ終えていました。

緊張で普段よりもさらにぐっちゃぐちゃな中国語に自分でも呆れましたが、相手のお母さんは簡単な単語を使いながら、ゆっくり聞き取りやすい中国語で質問に答えてくれました。1時間ぐらい会話したのではないかと時計を見るとまだ30分も経っていませんでしたが、なんとかインタビューを終えると店内の子ども向けの音楽が聞こえてきて、解放感と達成感ですっきりしました。

これをきっかけに、相手へ話しかけることへのハードルは少しだけ下がった気がしました。今思えば、口語の先生の目的はインタビューではなくこっちだったのかもしれません。

中国舞踊の教室で

それ以降、学校外で中国舞踊を習っていたので、一緒にレッスンを受ける人に話しかけることを目標にしました。その日も意気込んで教室に入ると、50代ぐらいの可愛らしい印象の女性が一人だけいたので挨拶すると、「今日は人数が少ないわね、まさか外国人と2人だけなんて!」と豪快な口ぶりで話すので色々と驚きました。自分が留学生であると話したことがあるのは中国舞踊の先生だけだったので、どうして初めて話した女性が私を外国人だと知っているのか不思議でした。

質問してみると、「この前あなたがほかの人と喋っているのを聞いた時に、なんだかイントネーションとか喋り方が変だったの、方言とかそんな感じじゃなくて、外国人が話す中国語だった」と言われ、意外と知らない人に話を聞かれているんだな、私の中国語は日常会話でも外国人だと分かってしまうようなレベルなんだなと気が引き締まりました。

それから毎度教室で顔を合わせると、「これ中国語で何と言うか分かる?」「今の中国語聞き取れた?」「今日は冬至だから餃子食べないとね」などと話しかけてもらい、いつの間にかレッスンを受ける他の受講者たちにも私が外国人だと知られていました。

たった1時間一緒にレッスンを受けるような薄い人間関係の方が、変な中国語を喋っても、トンチンカンな回答をしても許されるゆとりがあり、かえって細かいことを気にせず話すことができて居心地がよかったです。

 

留学に来たら現地の友人を見つけないと、と必死になっていました。しかし、一歩引いて自分の環境を見てみると、よく見かける警備員のおじさんや、学内で販売している果物屋の店員さん、食堂のおばさんなど、みんな現地の中国人で、毎日のように顔を合わせて挨拶していれば自然と会話が生まれることを知りました。連絡先を交換したり、一緒にご飯を食べに行ったりするほどではないけれど、見かけたら挨拶して軽くお喋りするような中国人は意外とたくさんいて、私が見ようとしていなかっただけなのだと気づかされました。

レッスンが生徒2人だけだった時。先生と3人で撮影しました。

夜は学校の外に屋台が出ます。門の柵の隙間から食べ物を貰うのが、なんだか秘密のやり取りをしているみたいで面白いです。

食堂で大好きだった雪菜肉丝面。3日に1回は食べていたので、食堂のおばさんに顔を覚えてもらえました。

12月31日の夜。海岸で打ちあがる花火を見るために地下鉄に乗ると、身動きがとれず恐怖を感じるほどの人混みでした。