「実際に留学してみて気づいたこと、新たな発見」井上 凜(復旦大学)

私は大学で中国語専攻だったため、中国の日常や文化を先生の話から知ることが少なくありませんでした。例えば、お湯をたくさん飲むという習慣です。中国に来た当初はお店でぬるま湯や熱湯を出されると冷たい水が飲みたいなあと毎度思っていましたが、毎度のことすぎて最近はすっかり慣れました。身体を冷やさないことが大切だという考え方は本当に当たり前に浸透しているということを身をもって実感しました。

长沙菜を食べに行った際の写真。手前はお湯です。

また私自身海外で長く生活することが初めてということもあり、日本では当たり前だったことが実際は当たり前ではないと気付かされることが多々あります。

特にトイレに関して、留学前からトイレットペーパーは流せないということを聞いており頭では納得しているつもりでした。しかし実際その環境で暮らすとなるとかなりしんどく感じました。この面は今もまだ慣れません。公共トイレは基本的に臭い場所が多く、そのせいなのかどこのトイレも置いてあるハンドソープはとても良い匂いがします。市販のティッシュにも過度に匂いがついていたりします。それでバランスが取れているとは言い難いですが。

空気汚染についても話には聞いていましたが、たまに深刻な日がありすぐに喉が渇きます。マスクが必須です。近くのマンションですら霞んで見えます。

他にもコンビニのサンドイッチのパンが湿り気味であまり美味しくなかったことにも衝撃を受けました。反対に日本のサンドイッチはなぜあんなに美味しさを維持できているのか気になるところです。

スーパーで見つけた虫眼鏡です。成分表示を確認するために置いてあるのだと思います。面白いです。

もう一つ私が中国に来て感じた一番大きなことは、食堂の掃除、寮の管理、シェア自転車の管理、外卖や快递の配達員、ゴミ回収などたくさんの場面でおじさんおばさんと呼ばれる年齢の方々が働いてる姿を目にすることです。深く考えてはいませんでしたが、日本よりはるかに多くの中高年の方が市民の生活を直接支える仕事に従事している印象です。日本とは生活スタイルが一緒ではないのではっきりと比較はできませんが、例えば日本のUber Eatsの配達員は若者も多くいますが中国の外卖の配達員はそのほとんどがおじさんです。快递の配達員もですが、彼らは他地域から出稼ぎに来ていると聞きました。

これを受けて中国人作家郝景芳の『折りたたみ北京』という小説を思い出しました。この小説には中国の階級社会の縮図のような基本設定があります。以前私が読んだ際にはぼんやりとしか想像できていなかったその構造とストーリーが、実際に中国の日常を自分の目で見たことによってよりリアルに想像できるようになりました。また、このような階級社会の構造についてもう少し理解を深めたいとも思うようになりました。

折りたたみ北京は短編集の中の一作です。簡単に読むことができるのでぜひ読んでみてください!

前期の授業があっという間に終わり、留学も折り返しが近づいています。冬休みも欠かさず中国語の勉強を続けながら、上海以外の様々な場所を旅したいと思っています。