「留学を開始して困ったこと、面白かったこと」間中 千裕(復旦大学)

上海に来て早くも一か月が経過しました。

私の通う复旦大学には留学生がとても多く、上海自体も比較的外国から訪れる人たちに慣れているためか、まだまだ拙い自分の語学力でも生活していくにあたって困ることはほとんどありません。関わる人のほとんどがこちらの話に根気強く耳を傾け、手を差し伸べてくれている印象です。また日本にいたころから支付宝/微信支付での支払いや淘宝での商品購入を経験していたため、個人的にはキャッシュレス決済などにもあまり戸惑いは感じませんでした。

そんな中で困った点を挙げるとすれば、やはり宿舎の住環境と日本からの荷物の送付でしょうか。

复旦大学の留学生寮にはいくつか種類があり、私の住む「铺楼」は4人部屋でトイレ付きのシャワールームが2つ、一人ずつ個室になった寝室が与えられる作りになっています。現在私の部屋はルームメイトと私の2人しかいないため、シャワールームをそれぞれ個別で使うことにしたのですが、私が使うことになった方のシャワーは温水が出ませんでした。最初の1週間は使い方がわからず壊れているのか判別もできなかった上に、中国語力への不安から事務室に行くのに躊躇していたため冷水を浴びてしのいでいました。しかしようやく意を決して事務室に向かい、何とか状況と要求を伝えることに成功すると、翌日の昼には修理が完了。これ以降、部屋のルームキーが壊れ音が鳴りやまなくなる・ルームキーを部屋に忘れたままオートロックのドアの外に出てしまうなど様々なトラブルがありましたが、あまり抵抗なく事務室へ向かえるようになりました。

ついでに、仕方のないことですが私たちの住む铺楼にはエレベーターがなく、比較的上の方の階に住んでいるため、後述の日本からの荷物(13㎏)や購入したマットレスのように大きなものを運ぶのは一苦労でした。

日本からの荷物の送付に関しては、家族の力を借りました。上海の9月は雨の日が多く、この連日の雨が明けるとすぐ冬が来ると先生に聞いたこともあり、いくばくかの冬服と、虫よけグッズなどを送ってもらいました。私だけでなく友人たちもかなりの確率でひどい蚊に刺されに苦しんでいたため、今後渡航される方は虫よけのグッズをあらかじめ持参することをお勧めします。

オンライン上でインボイスと集荷を手配し、9月7日の午前中に関東から国際小包にて発送してもらったところ、13日の午前中に上海の税関に到着。順調かと思われましたが、翌14日の午前中に税関よりSMSが届きました。曰く、インボイスの記入が不適切だったため追加の手続きが必要とのこと。直接処理に行くかオンラインで手続きするかを選ぶことができ、私はオンラインで申請をしました(30元の代行費用が発生しました)。申請には送付物購入時の領収書の添付が必須だったのですが、ほとんどが自分の衣服や買ってもらった商品のであったためアップロードできるものがなく、仕方なく購入画面のスクリーンショットを使用し、備考欄に贈り物であるため領収書がない旨を記載して提出しました。15日に申請を完了し待つこと3日、ようやく税関から発送され、翌19日に受け取ることができました。発送された際、人工音声で「どこに届けてほしいか」という旨の中国語の電話がかかってきたため、大学の菜鸟站に届けてほしいと回答する必要がありました。電話はまだまだ掛けるにも受けるにも緊張が伴います。

今回の失敗は最初に記載したインボイスが明らかに簡素過ぎたことが原因だったため、今後発送を予定している方は当たり前ですがかなり詳細で正確な内容物の記載を心がけるとよいかもしれません。

さて、面白かったことに関してですが、まず一つ目は何といっても自転車文化です。大学内の敷地は広く、宿舎から教室までは歩くと20分以上かかってしまうため、毎朝自転車に乗って通学しています。電動自転車を含め自身のものを購入している友人も多いですが、私はレンタルで定期券を購入し使用しています。学内外問わずいたるところにレンタル自転車が存在するため、どこに行くにも自転車で快適な移動が可能です。ただ利用者がとても多いため朝の通学ラッシュの時間帯には宿舎周辺からレンタルできる自転車が消え去ることもしばしば。少し早めに起きて早めに出発する癖がつきました。教室付近の駐輪場に止まる自転車の大群は圧巻の光景です。友人の中には、以前は自転車に乗れなかったにも関わらず渡航後必要に駆られて2日間で乗り方を習得した、という猛者もいました。どこに行くにも便利なレンタル自転車文化は是非日本でも普及してほしいと思わされます。

いたるところにあるレンタル自転車。青は支付宝(哈啰)、黄色は微信(美团)で借りることができます。

自転車で宿舎から外滩周辺にもたどり着くことができました。

また、外卖(デリバリー)の発達も興味深いです。東京でも様々なデリバリー事業が利用できますが、規模と価格帯が大きく異なります。様々な料理を好きなタイミングで楽しめますし、日本だと1度で最低でも1,500円ほどかかってしまうところ、平均的に15元~20元(300~400円)ほどから注文することができます。配達員は校内に入ることができないため、宿舎の門に設置された自動ロッカーに入れてもらい、届いたら自分で取りに行く方式です。ロッカーに空きがない場合は門の外にわりと乱雑に放置されますが、今まで別の人に持っていかれたことはなく、友人たちからもそのような話は聞いたことがありません。私は以前上海を訪れた際に北京の友人が送ってくれてからというものお粥を食べるのにハマってしまったため、よく夜ご飯にお粥を外卖して食べ比べています。

こちらは白切鸡と合わせてクーポン使用で35元。少し高めですが量も多く美味しいです。

そして、他国からの留学生たちとの交流もとても楽しいです。私は語学生として留学に来ているため、基本的にほとんどの時間を中国語が母語でない留学生と過ごしているのですが、みなことあるごとに「私の国では……」という話をするため、中国に限らず知らなかった文化に日々触れることができます。クラスは10段階のレベル分けで編成されており、私含め同じクラスのクラスメイトたちはまだあまり中国語が得意ではないのですが、良くも悪くもコミュニケーションは言語だけがすべてではないのだなと実感させられました。日本語を覚えてきて話しかけてくれる人も多く、私も韓国・タイ・フランス・ドイツ・ウズベクスタンなどのちょっとした挨拶や単語を調べてから授業に向かったりしています。

放課後に韓国・ベルギーの友人たちと集まり外卖で晩御飯。宿舎生活はすぐに集まれるのも楽しいです。

懸念点として、現状授業の先生や寮などのスタッフ以外の中国語話者との交流が少ないことがあります。先日映画を観に行った帰り、バス停に傘を持っていない人がいたため自分の傘を共有して少し会話をしましたが、留学生同士での会話と比べてやはり意思疎通が難しいと痛感しました。勉強による基礎的な語学力の向上はもちろんのこと、学外に買い物に行くと話しかけられることも多いため、外卖の便利さに負けずなるべく直接お店に行くこと・本科の授業や活動に参加してみることなどを意識して、10月はもっと中国語話者との交流を増やしていきたいと考えています。

ウズベクスタン出身の友人とローカルな古着市場へ。お互い中国語で交流してることもあってか、どこのお店に入っても物凄い勢いで話しかけてもらえます。