「留学に向けて取り組んだ準備と留学に向けた思い」齋藤あおい(華東理工大学)

これから旅立つ前に、心の整理のため、中国に渡航できなかった長い日々のことを書き記しておきたい。私は現在、日本の大学で博士後期課程に在籍中である。博士に進学したのは2020年4月のことで、コロナウイルス流行にがっつり重なっていた。早く上海でフィールドワークをしたいのに、厳しいゼロコロナ政策のためずっと渡航が叶わなかった。研究テーマを変えた方が良いのではないかと言われたりもして、正直この3年間は色々なことが辛すぎたので記憶がおぼろげだ。

日中友好協会の中国政府奨学金に申し込んだのは、絶対に上海に行ける方法を探していたからだ。2022年になると、SNSで「@上海留学」といった中国留学アカウントが散見されるようになった。ビザセンターに通い詰めたら奇跡的に留学に行けることになったという人の話も聞いた。しかしいざ詳しく伺ってみると、親族が中国にいる方だったりしたので、中国に縁のない自分とは条件が異なり落胆した。希望をちらつかされては裏切られる。2022年はそういう、じれったい年だったと思う。その中で、中国政府奨学金をとった方々は、新学期開始の9月を過ぎながらもちゃんと留学ができているのがわかった。そのことをきっかけに、昨年末、コロナにかかりながら準備をした。

内定が決まり安心していた2023年2月、急に上海の華東理工大学から連絡がきた。それは中国政府奨学金関連のことではなかった。実は他の海外研究資金を獲得しており、それは2022年9月から行けるはずが、ロックダウンとコロナの再流行で流れそうになっていたのだった。諦めたからこそ中国政府奨学金を取ったというのに、急にチャンスがめぐってきてしまった。私は慌てて準備をした。有明のビザセンターは遠かった。インターネット予約のやり方を間違えたせいで、計3回通うことになった。申請の際は大混雑で、5時間近くかかった。番号をとったらベローチェで時間を潰すとよいという先人の教えを胸に、有明に行くときは作業ができるよう大荷物になった。渡航直前に中国人留学生の友人たちに助けられながらアリペイの設定をして、無事に旅立つことができた。浦東空港で乗ったタクシーでは、携帯番号の下4桁を司机に伝える文化を知らずに苛々させてしまったが、それも気にならないくらいに、渡航できたことがとにかくうれしかった。

大学

直近で中国に行ってきた者として言えるのは、ゼロコロナ政策の生活への影響は少なくなっており、マスクをしている人も地下鉄や商業施設でしか見かけなくなっていたということだ。今の日本もノーマスクが定着してきたが、中国の方が緩いかもしれない。一方、私は渡航中におそらく2回目のコロナに感染したのだが、検査して陽性か調べて報告するといった流れがなくなっており、現地の人に相談したら検査する手段がないからと、市販の風邪薬で解決させられた。「我羊了(コロナに感染した)」と言う人がマスクをしてその辺を普通に歩いているという状況であったので、日本で薬を買っておくと良いかもしれない。淘宝でも日本の薬は購入しづらい。

浦東

もう一つ役にたちそうな情報は、中国の電話番号と銀行口座を作るには、大学の近くにある店舗だと手続きがスムーズかもしれないということだ。キャンパスから少し離れた場所だと、慣れていなくて門前払いされるということもあったので(なんでだよと思うが)、留学生対応に成れている店舗を聞いておくとよいと思う。「中国移動」の番号を作るまでは、楽天モバイルの海外ローミングで対応できた。淘宝がある日急に凍結されるということがあった。2週間ほどで解決できたが、もしかすると日本の電話番号で登録したままにしていたのが良くなかったかもしれない。中国に着いたら、何はともあれ電話番号、次に銀行口座をつくることをおすすめする。

長くなったが、私個人の9月からの目標は、博論調査を頑張るということである。あとは上海で私を待つ友人と、网红店で火鍋を食べたい。