今回の語学留学が決定した半年前、私はまだ東京で働く会社員でした。大学で中国語を学んだわけでもなければゆかりがあるわけでもない私にとって、中国留学というのはこれまで想定もしていなかった選択でした。ひょんなことから関心を持ち、留学に思い至るまで中国語学習に傾倒したことで改めて実感したのは、「言語はツールである」ということです。よく言われていることではありますが、モチベーションという点からみても効率という点でも、言語習得の先に目的を持つことがいかに重要かということを知ったのです。
といっても私の場合、目的はたいしたことではなく、ただひたすらに面白いコンテンツの内容をもっと知りたい・この人が何を言っているのかわかるようになりたいというような些細な興味でした。字幕を観ながら一単語ずつ調べて文法を確認して何を言っているのか翻訳してみたり、登場した単語や表現を書き留めたり、中国のサイトで買い物や登録をするために窓口の方とチャットで交渉したり、メールを作成してみたり……。はじめてHSKを受けたとき、机上での学習時間は足りていませんでしたが、こうして日常の中で中国語に触れる機会を持っていたこともきちんと身になっていくのだと感じました。
それと同時に、正攻法でいわゆる“勉強”をした機会が少なかったことに後悔もしています。ずっと平面的な、文字ありきの勉強しかしていなかった私は、ほとんど中国語を喋ったことがなく、4月に1泊だけ上海に立ち寄った際ついに自分のあまりの”しゃべれなさ”を目の当たりにしました。とにかく言葉がでてこなかった。
「言語はツール」であるからこそ、実際に使う場面で体験して身に着けることもできるし、取扱説明書を読んで仕組みから理解することで更に用途と可能性――使う場面を広げることもまた大切であると思い知らされました。
留学では様々な場面で使われる生の中国語に触れ、実際に発話することを意識すると同時に、語学の授業や課題などの机上の勉学にも注力していきたいと思います。
また、自分と同じくやりたいことができたけど躊躇している人、特に中国に興味を持っている人や社会人の方が選択の参考にできるような、経験と記録を残せるような1年を目指します。