「留学中に取り組んだ日中友好活動」井口智奈(中国伝媒大学)

はじめに、「日中友好活動」と銘打たれる行動を私は積極的にしていなかったと思う。

というのも私が何かを働きかけるより先に、相手の中国人の方から友好的に接されることばかりだったからだ。

なので今月度のレポートテーマに関して、私が北京で生活する中で受けた友好的な行動について紹介していきたい。

日常生活で出会った人たち

私の中国語の発音は拙く、一年間北京生活を送ったものの、普通語を話し慣れていないことがわかる状態を矯正するに至らなかった。
そのため行く先々で「どこの人?」という質問をかなり受けた。私は毎回日本人であることを正直に伝えていたのだが、覚えている限り暖かいリアクションをもらったことしかない。

私少しだけ日本語勉強したことあります。寿司食べるのが好きなんですよ。今度日本の〇〇って場所に旅行に行きたいと思ってて……

驚いたのがそれなりの人数の人が、その人なりの日本との接点について私に話してくれたことだ。
あるビールの小売店に行った時、店内が混んでいたこともあり常連と思わしき他のお客さんと雑談をしたのだが、箱根や沖縄など何度か日本に足を運んだ経験を話してくれた。
反対に私は北京の中で好きな場所についてや、北京で働くことに憧れがあるがかなり難しいと思っていることなどを話した。(その方はその後「二か国語話せるから大丈夫だよ!チャレンジしてみたら!」と励ましてくれた。)

親交とは、国である以前にまず個人同士で深まっていくものなんだなと感じたし、私も今後そうしたスタンスであり続けたいと思った。

 

また私にとって希望となったのは、以前日本に留学していたという推定30〜40代の方に偶然出会ってお話しした経験だ。一人は乗車したタクシーの運転手さんで、もう一人は学食のシェフの方だった。
普通進修生という立場柄、それ以前に出会ったことのある日本留学経験者のほとんどは現役大学生だった。自分の本来の年齢に近い留学経験者と会えた時は少し驚いたし嬉しかった。

お二人の現在の職業は特に日本に関連したものではないかもしれない。けれども、日本語を勉強した経験が目の前にいる客(=私)を安心させていることは確かだ。

自分も日本に戻った時に、誰かをちょっとだけ助けることができるかもしれない。
来月に日本在住の会社員に戻ることが決まっている私にとって、このことはとても嬉しい事実だった。

 

自主開催の日中交流会の存在

今年の6月、語学スクール関係で知り合った方をきっかけに、ある日中言語交流会に参加した。

週に一度日曜日に行われているこの交流会の主催は中国人の方だ。初めは知り合い同士の口コミで参加者を募っていたもののどんどん規模が拡大し、現在WeChatのグループの参加人数は300人を超えている。
主催の方を含め、この回の参加者は社会人が多い。(反対にこれから大学生になるという方もいた。)そして先ほどの話とも通じるが、中国側の参加者の多くは現在直接的には日本と関わりのない職業に就いていて、一度習得した日本語能力を維持することを主な目的として参加していた。

日本語を学び始めたきっかけはさまざまであれ、自国に住みながらも難なく会話できるレベルで外国語を使い続けている皆さんのことをとても尊敬したし、私自身の帰国後の在り方についても考えさせられた。
その後の交流会は日程が合わなかったものの、映画を一緒に見る会には参加したし、わざわざ私の送別会まで開催してくれた。知り合ってからの期間が短い私に対しても目一杯のもてなしをしてくれるところが中国らしくてとても嬉しかった。

 

△送別会は私の希望で美味しい湖南料理を食べに行きました

 

 

△ラスト旅行として、西安→青海湖→チャカ塩湖(茶卡盐湖)→敦煌を丸5日で巡る弾丸一人ツアーをしました