5月分のマンスリーレポートは、一度提出したあと、自分で取り下げた。何を書いたかと言えば、受け入れ先の大学で生活費の振込が不定期であるために、切り詰めた生活をしていたという話であった。原題も「吃土(土を食う=それほど貧しいことを指すネットスラング)」としていた。
レポートを提出した翌日の朝、日中友好協会の担当者さんから電話してもよいかと連絡がきた。こんなことは初めてだったので心臓がばくばくした。私の書いたものに、問題があったにちがいない。そのときの私のレポートには生活費の振り込まれた日付や、大学の奨学金担当の問題発言をまとめた表などを掲載していたため、未来の奨学生たちが見るものとしては普通に問題ありありだった。
それでも当時の私は「こんな問題があるけれども、大学のやさしい阿姨さんやフリマアプリを駆使して生き延びています」と、清貧の日々として書き上げたつもりだった。今思うとどうかしているが、他の競争資金が、大学とのやり取りはすべて自分でやるようにと念を押すものであったので、直接訴えるという発想がすっぽり抜け落ちていたのである。
レポートを読んだ日中友好協会の担当者さんが、驚いたり、すごく心配してくださったりする様子を目の当たりにして、ちょっと書き直さないとまずいな……と思ったのであった(そして長いことそのままにしていた)。
ふつうに相談しよう
日中友好協会の担当者さんは、私へのヒアリングを通じて、問題解決のために熱心に動いてくださった。協会の方々は中国にとても詳しいので、現地での生活のディテールをちゃんと共有できる。「中国は物価安いんでしょ? 6~7万円もあれば2か月くらい余裕でしょ」などとは間違っても言われない(※中国をよくしらない人からの実際のコメント)。
物価の高い上海で生活するには大変でしょうと同情してくれたし、大学の対応に怒ってくれたりして、こんな共感ベースのレスポンスが得られるのかと感動した。もっとはやく連絡すればよかった。訴えが通ったためかどうかは定かでないが、私の大学では奨学金が1か月遅れであったのが、留学生活最後の月だけは、予定より2週間早く生活費がもらえた。
これから留学する方々には、自分では解決できない壁にぶつかったとき、迷わず協会に相談してみてほしい。同期の奨学生グループチャットで投げかけてみるのもよいと思う。お金をもらっているからといって、後ろめたく思わなくてよいのである。