今回は4月と5月初旬の出来事を、今月のテーマである「日本と中国、似ているところ、異なっているところ」に沿って記して行きたいと思います。
映画『君たちはどう生きるか』鑑賞
4月初めスタジオジブリ最新作『君たちはどう生きるか』が中国でも上映開始され、すぐにランキング1位になるほど大きな話題となりました。中国でもジブリ作品は大人気だそうです。私は昨年夏に日本で上映されたとき見る機会を逃していたので、中国人の友人と一緒に見ることになりました。チケット代は約900円で日本よりも少し安かったです。
映画館の構造は日本とほとんど変わりませんでした。しかし上映前に観賞マナーの案内がなかったり、エンドロールを最後まで見る習慣がなく少し戸惑いました。また座席にマッサージ機能がついており、観賞中に突然マッサージ機が作動したときは驚きました。
映画は日本語音声、中国語字幕の構成でした。映画の字幕はストレスなく目で終えるように簡潔で短い文章にしなければならない制限があると聞いたことがあります。くどい日本語の表現を中国語でこのように簡潔に表記できるのかと非常に勉強になりました。
大学の漫展
中国には「漫展」というアニメ好きが集まるイベントが毎週末いたるところで開催されています。私が通う西安交通大学でも年に一度、学生団体主催の漫展が開催されます。大学敷地内で開催され展示ブースやコスプレ、ステージでの演目が披露される1日中盛り上がれるイベントとなります。私は何度かこのようなイベントに参加しているのですが、中国のオタクの熱量は日本のオタクを越えるのではないかというほど盛り上がります。言葉の壁を超えて中国の若者たちがこんなにも日本のサブカルチャーに慣れ親しんでくれていると思うと嬉しくなりました。
西安日本人倶楽部の懇親会
4月13日、西安市内のホテルで開催された西安日本人倶楽部の懇親会に参加しました。約40名ほどが参加しており、内訳は留学生、日本語教師、駐在員とその家族でした。数少ない日本人同士で交流を深めることができて良い機会になりました。
また体調不良
4月下旬、朝起きると喉に違和感を感じました。睡眠中に喉が乾燥してしまったことが原因かと思い、のど飴を舐めるなど処置をしていましたが徐々に声が出にくくなり、翌日にはほぼ発生できなくなりました。すぐ病院に行き検査と薬を処方してもらいました。どうやら先月マイコプラズマに罹患したせいで免疫力が下がっており、その状態で動き回っていたことがよろしくなかったそうです。加えてここ最近は黄砂や花粉が飛んでいるのにも関わらず、マスクを外して行動してしまいました。結果2ヶ月で3回も病院に行くことになりました。授業も1週間休んでしまいました。
せっかく留学に来ているのだから積極的に行動したいという気持ちと、慣れない土地で生活をしているのだから休息を多めに取るべきという気持ちと2つのバランスを取ることが難しいです。
上海滞在記
ゴールデンウィーク(中国では労働節)は3泊4日で中国人の友人と一緒に上海旅行へ行きました。旅先に上海を選んだ理由は日本人街に行きたかったからです。
2月末に一時帰国から帰ってきたあと体調を崩しがちでした。身体が弱ると精神も弱くなり、日本が恋しくなります。中国には美味しい食べ物が数多くありますが、日本食が無性に食べたくなったのです。
そこで近所の日式居酒屋へ行きましたが、いわゆる「エセ日本食」で恋しい気持ちは埋められませんでした。そんな中YouTubeで上海の古北地区には数万人の日本人が住む日本人街があることを知りました。高島屋やアピタなど日本のショッピングモールもあることが判明したので、ここなら本場の日本食が食べられると思い上海へ向かいました。
上海には5年にも訪れたことがありました。その時に上海博物館、豫園、田子坊、ディズニーランド…主要な観光地はすでに行っていたので、今回は日本人街がある古北地区と南京路を中心に回りました。
日本人街
上海は現在は4万人ほど日本人が住んでいるそうです。古北地区に行くと早速日本語が聞こえてきました。西安は日本人がほぼいないので、街中で日本語が聞こえてきたことになんだか喜びと安堵を感じました。
上海旅行の目的でもある日本食を味わいにいきました。
まず同行した中国人の友人からとんかつを食べてみたいというリクエストを貰っていたので、高島屋にある「かつくら」に行きました。とんかつを食べたとき、日本で食べた味とまったく同じだったので感動して涙が出そうになりました。店内ではちらほらと日本語も聞こえてきたので、上海に住む日本人もよく利用しているようです。たった数ヶ月ぶりの日本食であっても懐かしい気持ちが溢れました。
滞在した数日間でとんかつ、煮物、茶碗蒸し、味噌汁、焼き鳥、焼き魚、納豆、そば、二郎系ラーメン、コメダ珈琲…さまざまな日本食を満喫してきました。
日本に住む中国人が食べる中華料理のことを「ガチ中華」といいますが、古北地区の日本料理はまさに「ガチ日本」でした。在日中国人が日本でガチ中華を食べるとき、彼らもまた故郷を懐かしんでいるのでしょうか。
物価について
上海は西安と比べて物価がかなり高く、おおよそ日本と同じくらいでした。西安では1日30元(約600円)くらいで過ごしていたので、上海の1食50元(約1000円)以上するランチには少し驚きました。しばらくすると日本にいるときの金銭感覚に戻ったのでランチが80元(約1600円)ほどしても(まぁそんなもんか)と思って躊躇なく注文できました。
少し考えたのが中国政府奨学金は毎月3000元(約6万円)の生活費が給付されますが、西安で3000元あると余裕がある生活を送れます。しかし上海で3000元で生活するのはかなり大変なのではないかと思いました。
南京路が秋葉原に⁉︎
同行してくれた中国人の友人は日本のアニメやゲームが大好きです。今回の上海旅行のもう一つの目的はオタ活でした。アニメショップが集まる上海一の繁華街南京路に行くと、さっそく巨大アーニャがお出迎えしてくれました。
このショッピングモールは2023年1月にオープンした『百联ZX』で、館内はすべてアニメショップです。友達が好きな作品の特設ショップがあったらしく、アニメグッズを爆買いしていました。品揃えは日本のアニメショップとほぼ同じで、値段は日本よりも少し割高でした。
とにかく人が多くて館内に入るのに10分ほど並ばなければいけないほどでした。このモールの影響で周辺にはコスプレをした人たちがたくさん歩いており、南京路がまるで秋葉原のようになっていました。2019年に南京路を訪れたときと大きく変わっていたので驚きました。
洋式トイレは不衛生?
以前、西安のトイレ事情をお話ししたことがありますが、上海のトイレ事情は西安とはまるで違いました。街中にはどこでも洋式トイレがあり、トイレットペーパーもあり、洗面台にはソープまで備え付けていて、日本のトイレ設備とほぼ変わらなくて感動しました。
しかし中国人の友人は上海のトイレを見て「ここのトイレ全部洋式トイレだ!不衛生だから使えない!」と言って用を出さなかったのです。彼女は以前から「洋式トイレは不特定多数の人とお尻を密着することになるから汚い」と言ってはいましたが、まさかトイレを拒否までするとは思いませんでした。私なら例えば日本で古い建物のトイレを利用するとき、すべて和式トイレだったら(ここは和式だけだな…別のトイレを探そう)と考えますが、逆のパターンがあることに驚きを隠せませんでした。まさに日本と中国の価値観の違いです。
また古北の高島屋のトイレの個室内には日本と同じく除菌液が入ったディスペンサーが備え付けられていました。私は彼女に「日本の洋式トイレには便座を拭く除菌液が置いてあるから、衛生面での心配はいらないよ」と伝えましたが、彼女は「こんな液体ではすべての菌を取り除けないよ!」と言って拒否されてしまいました。私は日本のトイレが世界一衛生的だと思っていたので、それを否定する価値観があることに大きな衝撃をうけました。
今月は以上です。体調に気を付けながらも残り2ヶ月の留学生活を楽しみたいと思います。