「北京国際映画祭と近況」金子 絹和子(北京電影学院)

 

毎回レポートを書くたびに時の流れの早さを実感しているが、最近より拍車がかかっている気がする。というのも北京はここ数日で日差しが一気に強くなり、夏の兆しを見せ始めている。

私が北京に来たのは夏真っ盛りの8月下旬だったので、もう季節が一周しかけていることに驚きを隠せない。このレポートも今回がなんと10回目となる。

前回のレポートで残りの日々について「映画やそれ以外の芸術により積極的に触れに行く」と書いたが、4月はその言葉通り毎週末様々なイベントや展示に足を運んだ。その中でも今回は4月の目玉イベントであった北京国際映画祭について振り返っていきたい。

 

北京国際映画祭

 

北京国際映画祭は今年で14回目となる北京で一番大きな映画祭だ。この映画祭では日本映画を上映する日本ウィークというコーナーがあり、今年は『福田村事件』『不死身ラヴァーズ』『白鍵と黒鍵の間に』『愛にイナズマ』の4作品が公開された。またレッドカーペットと舞台挨拶には『福田村事件』の森達也監督と小林プロデューサー、『不死身ラヴァーズ』の松居大悟監督と青木柚さんがはるばる中国までいらっしゃった。

私は学生ボランティアとしてこの日本ウィークで2日間お手伝いをさせていただいた。ちなみに映画祭全体のボランティアやインターンにも応募したものの、書類が通れば連絡が来るというもので音沙汰はなかった。だが幸いにも、WeChatの日本人留学生のグループチャットでこの日本ウィークのボランティアに参加することができた。

仕事内容としては、大使館でのパーティーの席でゲストの方の通訳を担当した。舞台挨拶など公の場は専門の通訳の方がいらっしゃるためボランティアの出番は少なかったが、舞台挨拶やパーティーなどに同行させてもらうことができて貴重な機会となった。

 

 

日本ウィーク

 

開幕式の会場

 

 

また映画祭には観客としても足を運んだ。

映画祭自体の感想はと言うと、正直運営体制がまだあまり確立されていないような感覚が否めない。もちろん素晴らしい作品も多くラインナップされているが、とにかく見切れないほどの作品が北京各地で一斉に上映されるので、やはり質より量重視の中国らしさがここでも発揮されている。

また中国の映画館は日本よりも上映環境や体制が適当なのだが、映画祭は劇場やイベントスペースなど普段映画を見るところではない会場でも催されているためその適当さがより目立つ。特に字幕の投影方法が特殊で、映画データに中国語字幕が埋め込まれていないため、スクリーンの前に細長いモニターを置きそこに字幕を投影する。ただスクリーンと字幕モニターに少し距離があり、またセリフが長いとフォント数が小さくなるので非常に見づらい。2階席だと前の人の頭で字幕が完全に塞がれてしまう。

それでもチケットの売れ行きは好調で、クラシック映画の上映でも若い人をよく見かけたので、北京にもこんなに多くの映画ファンがいることが嬉しく、また驚きだった。

 

例の字幕モニター

 

何気に初めての中国映画資料館

 

8ヶ月を振り返って

 

最近少し困っていることがある。初めて会う人と話す時、同じ質問をされることがトラウマになりつつあることだ。「いつ中国に来たのか」「なぜ中国語を勉強しているのか」など、4月だけでも10回以上は答えてきた。相手はただ善意で私に話を振ってくださっているだけで本来ならば感謝しなくてはいけないのだが、最近は少し気が滅入ってしまう。

その他の変化でいうと、最近、週末のオンライン中国語会話レッスンを解約した。理由としては週末に遊びに出かけることが多くなったこと、また学校の授業が最近より難しくなっているのでまずはその授業に集中したいためだ。

今まであったものが急になくなると不安も感じるが、独り言勉強法を極めながら少しの間様子を見て頑張っていきたいと思う。

 

798芸術区でのイベント

 

798芸術区には無料の展示がいっぱい

 

時代美術館、人が少なく軽くホラーを感じる

 

北京語言大学の国際文化デー

 

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