「自分なりに考える中国語の学び方」井口智奈(中国伝媒大学)

留学に行くまで

私は2021年の末に、趣味が高じて中国語の勉強を始めた。

当時はまさか留学に行きたいと思うほど中国語にのめり込むとは思っていなかったため、仕事の合間に勉強をしてHSKを受ける、という生活をしばらく送っていた。

翌年2022年の9月から1月頭にかけてHSK5級取得を目指すオンライン中国留学プログラムに参加し、文法や発音方法と言った自分に大きく欠けていた基礎を(先生のおかげで)埋めることができた。

 

これまでの勉強方法の問題点

中国語学習を始めてから1年ほどは目標が「HSKの試験に合格すること」だったため、学生時代と同じ勉強方法を手癖で続けていた。

私はこれまで、なるべくムラの出ないように順を追って勉強するのが好きだった。
例えば英語であれば「単語は各ジャンル最低7割は覚えるようにしよう」「前半の単元の文法は覚えたから、次は後半を理解しよう」というように、何かしらの目次に沿って一歩一歩地道に学習を進めていた。
※あくまで「勉強法の好みはこう」という話なので、勉強そのもののやる気のムラはすごかったです

また、「話す・聞く」よりも「書く・読む」勉強法の方が圧倒的に好きだったため、当然HSKではリーディングの点数でリスニングをカバーするような状態だった。口語(HSKK)も受けたことがあるが、なかなか酷い点数だった。

HSK5級まではこれでも良かったが、単語数が大幅に増えるHSK6級以降、そして何より留学生活が始まると「中国語が聞き取れない、発音できない、覚え切れない」という大きな壁にぶつかった。

 

留学後の変化

中国語力が伸び悩み始めてからは、学習方法を下記の2つに切り替えた。

完全に質より量に振り切る

これまでの「なるべく一回で覚えようとする」「効率の良い勉強法を探そうとする」考えから、「どうせ覚えられないんだから何回でもやる」「その日やりたいと思ったことに片っ端から手をつける」というスタンスに変えたのが、留学後の一番の変化だと思う。

 

学習テーマは日々様々だが、よくやっているのは「授業中に登場した発音がわからない単語を調べる」「なんでもいいから中国語音声を聞く」あたりだ。
前者については、聞き取れなかった単語のピンインだけ一旦メモをとり、後ほど予測変換から推測したり、反対にスライド等で出てきたため意味はわかるが発音を思い出せなかった単語の発音を調べるといった方法をとっている。

 

中国語音声については、主に次の三種類の音声を聞いている。

  1. 完璧に聞き取れないこと前提で流すニュース番組や授業内容の録音音声
  2. 文法や単語を理解し、聞き取るための学習音源
  3. 字幕を追いながら聞く、楽しむための芸能バラエティ

 

ただし、流す音の種類に自覚的である必要はあると感じる。
上半期、私は1と3ばっかりを流して勉強した気になっていて、発音や文法について結局身についてなかったという反省がある。

最近は2の割合を増やし、疲れている時ややる気が起きない時は1や3に切り替えるスタイルに落ち着いた。

 

自分の声を録音した音声に向き合う

心理的な負荷が高いがかなり効果的だったのが、録音音声を聞き返すことだった。

教科書やトークスクリプトの朗読を録音して後ほどお手本の音声と聞き比べたり、語学スクールの授業中にレコーダーを回し、自分と先生の発音の差を自覚することで、自分がいかに中国語の発音ができていないかが客観的に理解できた。

ここでも気をつけているのは、あまり丁寧に復習しすぎないことだ。
おそらく以前の私であれば、一文一文ピンインと声調を確認してノートに書いて、それを覚えようとして……みたいな感じで、かなり地道に復習していた気がする。
しかし、現状大半の声調が間違っているため、それだとあまりにも復習に時間がかかりすぎてしまう。
今はとにかく録音音声をさっと聞いて「自分の喋り、全然正しくない!気持ち悪い!」という感覚を身につけることを優先している。

以前「中国語の声調は歌うように覚えればいい」とどこかで見たことがあるが、まさにそんな感じで、楽譜に頼るのではなく耳で覚えることを心がけている。

 

最後に、ここまで長々と一人でできる中国語の勉強方法を書いてきたが、中国語を使って人と話すことが一番の上達方法なことは間違いないと思う。
下半期が始まって1ヶ月が経つが、冬休み中に色々対策したためか、以前より友達や先生、お店の方とコミュニケーションを取るのがスムーズになってきた気がする。

もちろん相手が私の言いたいことを理解しようと寄り添ってくれているのはすごく感じるので、4月以降はさらに円滑に会話できるよう、今後も頑張って勉強していきたい。

 

 

△平面構成の授業の講評の様子。同級生みんな上手……!

 

△北京の中でも特に好きな798芸術区というエリアにある、とても素敵なカフェの一角。

 

 

△THE BOXというZ世代向け施設の1階にあるクラフトビール屋。店員さんがすごく優しかったです!