語学学習者にとって最も重要な学習方法といえば実際にその言語を使用して交流すること。講師との会話や日常生活でのちょっとしたやり取りもその機会の一つですが、やはり現地で母国語としてその言語を使用している友人を見つけるに越したことはありません。普段の生活の中でどういった表現を使うのか、どういった対話を好むのか、どういった生活を送っているのかなど、交友関係からしか得られない発見は多々あります。
しかしながら、一口に“友達を作る”といっても、そう簡単なことではありません。異国の地で黙っていて人と知り合う機会は想像以上に少ないですし、私のように学習歴の浅く中国語(特に会話)に自信のない人であればなおさらのこと、この点かなり努力する必要があります。
実際私もまだ苦戦しているところではあるのですが、こちらに来てから知り合った方々とのきっかけをいくつか分類して紹介したいと思います。
- 友人の紹介
一つ目は友人の紹介です。私は語学留学のため毎日中国語のクラスに通っているのですが、当然のごとく、このクラスに母国語としての中国語話者はいません。サークルなどに入りそびれたこともあり、以前も言及しましたが、留学開始当初はかなり留学生以外の友人作りに苦戦していました。
あまりにも苦戦したため、あらゆる友人に「中国語話者の友達が欲しい」としつこく相談していたところ、日本に興味がある中国出身の知り合いがいるという友人が間を取り持ってくれるということが何度かあり、それによって知り合った方々が私の最初の友人達です。このときはたまたま一人ずつ紹介してもらったのですが、どちらの方もいまだにWeChatの朋友圈(モーメンツ。友人に向けた日常投稿ができる)などで交流をしたりしています。
- 大学内で
そしてもちろん一番知り合う機会が多いのは普段の大学生活です。サークルや交流イベントをはじめ、ジムや食堂など様々な場所で知り合った話をよく耳にします。
私の場合は映画鑑賞のイベントで同席していた人に別の場所で声をかけてもらったり、友人たちと流星群を見に行った際にたまたま隣のグループにいた日本語を学んでいる学生と知り合ったりと、ふとした拍子に知り合うことがありました。
一人でいろいろなイベントに参加するにせよ友人達と一緒に行動するにせよ、外に出て周りの人に関心を持ちつつ、友好的な態度での挨拶を心がけてさえいれば、自然と交流の輪が広がるタイミングはやってくるのではないかなと思います。
- 旅行中に
中国で生活していると、日本に比べて知らない人に声をかけるハードルが低いように感じます。道を聞かれることはもちろん、困った素振りを見せていたり、何かを眺めていたりするだけで、通りすがりの方が声をかけてくれるようなことが少なくありません。
私の場合は旅行先で自転車の駐車場所が見当たらなかった際に同じく迷っている方に声をかけたことがきっかけで、その後1日一緒に観光したり、一人では入りづらい現地のお店に連れて行ってもらったりしました。また、観光船で乗り合わせたご家族と話が盛り上がっておすすめの観光地を教えてもらったり、火车で私の席に寝ていた人と到着までお喋りして連絡先を交換したりと、様々なところでちょっとした交流が生まれます。(※火车の硬座は交通機関の中でも最も安い席で、空いているときは特に、自分の席に別の人がいることが日常茶飯事です)
中国は日本と比べて交通費が安いですし、安価なドミトリーもたくさんあるので、特に留学生たちは頻繁に旅行に行っている印象があります。普段の環境と違った場所で中国語を使う機会にもなるので、私も是非今後いろんなところに足を運んでみたいと思います。
渡航直後は中国語を母語としている友人ができないことに焦りを抱えていましたが、留学も折り返しに達し、上記のようにいろいろな人と出会い、特段社交能力に秀でている人でなくても新しい人たちと知り合う機会は多多あるということを知りました。
そして現在は、「交流の仕方」の違いに注視するようにしています。
少し前に中国のSNSで少し話題になっていた動画で「なぜ日本人は返信が遅いのか」という話題がありました。友人曰く、中国では“秒回”が基本のようです。日本のスラングでいうところの“即レス”がこれにあたるのですが、確かにみんな、とにかく返信が速い。ボイスメッセージを多用しがちなのも、文字を打って変換するよりも早く返信できるからという説があります。対して日本人は――というと大げさすぎるのですが、少なくとも私は、雑談に対する返信が決して早くはありません。別の人といるときや作業をしているときに通知が来ても、急用でなければ後ほど時間ができてから返信しようとしますし、相手からの返信もそれほど急ぎません。
また、こちらでは普段から友人同士で手を繋いだり肩を組んだりと、友人間での身体的な距離感も日本と比べかなり近いようにみえます。
せっかく知り合っても親しい仲を継続するのが難しいのは、原因の一つにこのような文化の違いがあるのではないかと私は思います。
相手の文化を意識することですれ違いに気を付けつつ、なるべくいろんな縁を長く紡いでいけるよう、残りの留学生活も過ごして参ります。