「中国へ留学して」大門 紗也(南京大学)

 

昨年8月から始まったレポートもついに最後となりました。1年間のレポートを読んでいただきありがとうございます。この1年間を振り返ってみようと思います。

留学前~留学前半

中国留学への応募は勇気がいることでした。

現地へ行けずオンライン留学だったらどうしよう、語学留学なんて意味あるんだろうか、不安が次々と浮かんで消えることなく、噛み続けたガムみたいにべっとり頭の隅に張り付いていました。

いざ中国へ渡航し授業が始まると、クラスメイトの中国語のレベルの高さに圧倒され、これら日本での悩みはいつの間にか剥がれ落ちて、新たにもっと勉強しなければという焦りに変わり、夜の10時過ぎまで自習室で予習と復習をしていました。

今思えば10-11月頃の精神状態はあまり良くなく、かなり疲れていたように思います。

だからか2日に1回は砂糖たっぷりのビッグサイズのミルクティーを飲んだり、毎日食堂で高カロリーかつ白米もりもりの男子学生が食べるようなメニューを注文していました。

 

留学後半

だんだんと中国での生活にも慣れ、全てのことが新鮮に感じる時間は過ぎ去りました。

少しずつですが中国語での会話を楽しめるようになり、新しい人との交流にも積極的になれたので、留学後半からは人間関係が大きく広がっていきました。

様々な中国人との会話は留学生同士の会話に比べると、歴史や外交問題にも触れ、使用される単語やフレーズも難易度が高めなうえ、ドラマを倍速で見ているような速さで話すので、夕方になるとエネルギー切れで頭が働かずクタクタになりました。

 

時に中国人から、「私の話すスピードは標準だし方言も酷くないから聞き取れないのは勉強不足だよ」、「多くの南京人はあまり日本人に良い印象は持ってない」などあまりに正直に面と向かって言われたときは、半年間かけて作り上げた自尊心が打ち砕かれていく感じでした。

ずっと言葉が頭の中でぐるぐる巡回し、気持ちが落ち着くとムカついてきたこともありました。「中国語上手だね」とか、「日本大好き!」など聞いて嬉しい言葉ばかり言われると、社交辞令と分かっていても真に受けて天狗になってしまうのが私の性格なので、これらの現実に引き戻してくれる現地人の率直な言葉は当時の私に必要だったと思います。

留学して気づいたこと

約1年の留学を通して、外国人が母国以外で暮らすのは精神的にも体力的にも大変だと分かりました。

私は奨学金を貰っている留学生という立場で、中国に興味があったし、南京大学という所属する場所があったので、孤独を感じず比較的自由に楽しく過ごすことができました。

しかし、結婚や両親の都合、仕事などで長期滞在することになったら、生活面で頼れる人や母国語で相談できる人はほんの僅かで、生活するだけで精一杯なその国を理解したいと思える余裕まで残るだろうかと思いました。

日本に帰国後、コンビニで流暢な日本語で接客してくれるどこの国から来たのか分からない外国人を見ると、外国人を経験した親近感から海外生活を応援する気持ちと、外国語を使って仕事をするなんて凄いなあという尊敬の気持ちが溢れてきました。