「前期を終えて」間中 千裕(復旦大学)

渡航前は初めての海外生活を1年間も上手くひとりで生き抜けるだろうか、といくばくかの不安を抱いていたはずが、気づけば留学生活も折り返しに。前学期でそれぞれの母国へ帰ってしまったクラスメイトも数人おり、最近の私たちはことあるごとに「あと4か月しかないね」と嘆いています。

前期を終えて、まず自分の変化として一番大きいと感じるのはやはり中国語の「聞く力」と「喋る力」です。渡航前、独学だったこともありなかなか中国語を喋る機会がなかった私は、日本語が堪能な中国語話者の友人から「中国語練習の相手になるよ!」と声をかけてもらったときも、自分の中国語が間違っているのではないかと不安で気恥ずかしく、結局一度も中国語で会話することはありませんでした。

ですが留学中は気恥ずかしいなどと言っている暇はありません。ご飯を食べるのも何らかの手続きをするのも買い物をするのもどこかに出かけるのも、様々な母語を持つクラスメイト達と交流するのだって、中国語を話さなければはじまりません。何か問題が起きたときなどは特に、電話を掛けたりそばにいる人に話しかけたりしなければいけないため、伝わらなかったら・聞き取れなかったらどうしようなどと考えている場合ではなく、とりあえず口から中国語を放り出す必要があります。

こうして半強制的に中国語を使わざるを得ない状況に身を置いたおかげで、現在、少なからず中国語を話すことへの抵抗は弱まってきました。もちろん伝わらない・聞き取れないという状況はいまだに多いですが、習得しきれていない語彙の中でどのようにして伝えるか・どのように聞き返すかという伝達方法と「自分の中国語も伝わる」という自信が身についてきたため、日常生活で困ることはほぼありません。

ただ同時に、今後の課題も「聞く力」「喋る力」の向上にあります。前期で向上した能力というのはあくまで交流に対する大胆さや積極性と、どのような状況でどのような言い回しをすることが多いかといった習慣的な部分に関する知識であり、やはりいまだに語学力としては圧倒的に足りていません。特に「喋る力」「聞く力」の鍵を握る声調に関して、完全にあやふやなままここまで来てしまったため、後期は語彙力の強化とともに「正しい声調」を強く意識して音読や会話に取り組みたいと思っています。

また、前期は語学以外にも様々な上海の生活に触れることができました。多種多様な交通手段を利用して外出したり、路上脇の生鮮市場で買い物をしてみたり、デリバリーで誕生日ケーキをレストランまで届けてもらったり、古镇巡りをしてみたり、春節に花火をしたり、各地の展覧会やクリエイターズマーケットを見に行ったり、おしゃれな多機能図書館で勉強してみたり、映画館で中英字幕付きの映画を観たり……。枚挙すればいとまがありませんが、とにかく積極的に外に繰り出せたことが大きかったと感じます。

上海は私にとってとても魅力的な街で、まだまだ行ってみたい場所・やりたいこと・見たいものがつきません。後期も日々の学習に打ち込むとともに、残り少ない時間を無駄にせず積極的に上海の生活を体験して記録に残していきたいと思います。

初めて体験した中国の春运(春節の交通大混雑)

見慣れた上海のシンボル

復旦大学にはたくさんの猫がおり「先輩」と呼ばれ愛されています

日本式カレーを作り友人たちに振舞いました