「留学する前のイメージと実際に留学してみて気づいたこと」岡崎葉生(北京大学)

北京関連の本が集められた書店。中庭の雰囲気が素敵(猫もいる)

私が北京への留学生活にあたって楽しみにしていたのが、博物館や名所旧跡、京劇鑑賞でした。もちろん、実際に留学している中であちこち出掛けているのですが、その際に予想外のハードルが二点存在していました。

まず一つは、多くの施設を訪れる際には事前予約が必要であるということです。例えば、天安門広場に入る場合には前日の予約がないといけません。このように訪問する前に予約をしておかないといけない施設が多く、行き当たりばったりで行動したい私にとっては面倒に感じるのが正直なところです。また、予約をするのも少し面倒です。予約の仕方は、まずWechatで行きたい施設の公众号を検索してフォローしたのちに予約ができるようになります。Wechat以外に施設のホームページから予約したり、チケット予約アプリで予約したりすることもできます。しかしここにトラップが存在します。予約の日時を選択して、個人情報を入力して、さあ予約完了だ、というところで「身份证以外の書類は対応していません」と表示されて予約できないことが割とあります。この身份证というのは、日本のマイナンバーカードに似ていて、大陸に居住する中国籍の人が全員持っている、個人の番号が記載されたカードです。

 

故宮博物館の公众号

ハードルの二つ目がまさにこの身份证です。中国では身份证が何かと要求されて、身份证がないとできないこと,手続きが面倒になることが多いように感じます。例えば、京劇の公演チケットを買う際に、必要な実名認証に対応できるのが身份证のみで買えなかったり、Wechatの支払い機能が凍結されたときは身份证がないと凍結解除の手続きができなかったりしました。

一方で、天安門広場付近に行った時に、警備員に身分証の提示を要求されて、代わりにパスポートを出すとある警備員は写真を撮って記録すると思えば、別の警備員はパスポートを一瞥して通行を許可するなど、外国人が来た時用のマニュアルがあまり定まっていないような印象を受けたこともありました。

まとめると、外国人が観光地や施設を訪れる際にはパスポートでも予約できる窓口を探して事前に予約することが必要なことが多いです。現在、外国人は観光のために中国に入国することができないので、外国人の数は少ないですが、今後国境が開放していき、多くの外国観光客が戻ってきた際にはどのように対応するのか気になります。

実際に留学してみると、予想外な場面で外国人(特に中国語ができない)に不親切だと感じることが多々あり驚きました。ただ、こうした体験を通して、日本で暮らす外国人やマイノリティへの見えない排除やハードルについて考えることが多くなりました。

マカロン風のクッキー。クリームの中にパチパチキャンディが入っていて面白い

凍り始めた頃の未名湖の様子。今はスケートができる