さて、大学の期末テストを終え、冬休みに突入した。エアコンや“暖气”(中国の北方地区の建物内に張り巡らされている温水循環暖房設備)で建物内は一定の暖かさが保たれているが、外に出ると寒さにより一瞬で耳たぶが赤色に染まり、スマートフォンを持つ手の指先が凍える。北京の冬はやはり日本の関東地区よりも厳しいと身にしみて感じる。世界が温もりを求める季節になると、ホームシックになるものだろうか、最近はふと日本を恋しく思う瞬間がある。
だからなのだろうか、12月は北京に来てから一番日本の友人と話す機会が多かった。これまでは、無意識に日本語を避けようと、他の日本人の友人との会話を避けてきた。しかし、彼らと話し近況を知り合い、彼らの留学への姿勢や日々の過ごし方、出会った友人との出来事を聞くことで、以前は知らなかった情報について知り、自分の留学を振り返るきっかけともなった。同郷を大切にしてこそ、留学の中身もより豊富なものになると感じた。
12月中旬には北京のゼロコロナ政策が緩和された影響で、コロナが爆発的に蔓延し私も人生で遂に初めてコロナにかかった。幸い中国の“老友(古い友人)”や“舍友(ルームメイト)”の助けや情報を共有してくれたおかげですぐに回復できた。身体が弱った後は母国の味が恋しくなるようだ。私は出発前に日本から持参してきた粉粒タイプの鰹だしを使い、まだ鍋を購入していないため北京大学の留学生寮にある共用の電子レンジを使用し、茶碗蒸しを作った。またスーパーでは日本のカレールーも販売されており、日本のカレーも挑戦し久しぶりに日本の味を味わうことができた。
“入乡随俗(郷に入っては郷に従え)”、異国の地に足を踏み入れれば、その土地の文化や習慣に染まることは必須だ。しかし母国の魂を忘れず、母国の友と協力して異国の地の道を歩んでこそ得られる収穫があることも心に留めて、充実した冬休みを過ごせるよう願う。