実は北京は首都ながら上海や広州に比べると魅力がない、と外地出身の学生に言われてしまうような貶されがちな街です。しかし、私は北京に留学できてよかったと心から思っています。
過ごしやすさでいうと、まずあまり雨が降らない天気で湿気がほぼありません。手洗いした靴を窓際に一晩置いておくとすっかり乾いています。最初は肌が乾燥して困ったのですが、うまく対処すれば湿度が低いのは生活する上でとても便利です。寒さと暑さはどちらも厳しく…ここは室内にうまく逃げながら付き合うことで何とかやっていけると思います。
また、多くの人が言及されていると思いますが、中国語を学ぶ上でこの上なく良い環境です。先日重慶に旅行した際、様々な場所から来た人と交流しました。やはり訛りある中国語を聞き取るのは至難の業で、北京でまず土台作りができてよかったと思いました。北京の人の強い巻き舌に戸惑うことはありますが、大学に通う人は基本的に綺麗な普通話を話してくれるので耳を慣らすのにとてもぴったりです。
老北京菜といわれる北京の郷土料理は種類豊富でいろいろと食べてみるのが楽しいですし、クラフトビールやコーヒーのブームは外出をさらに楽しいものにしてくれています。
中心地にはライブハウスがたくさんあるので、食事やお酒を飲む以外にもナイトライフは充実していて、新しい私立美術館もたくさんできており文化的に楽しめる場所がたくさんあります。先日はabC ArtBook Fairというブックフェアに行ってきましたが、人で溢れていて大盛り上がりでした。個人で出版された面白い本が買え、北京にまつわる展示もあり、充実していて面白いイベントだからこそ人が集まるのだと思いました。
テーマとはズレますが、最後に少し先日訪れた重慶について書こうと思います。
期末考査を終え、重慶まで一人旅に行ってきました。海外で完全な一人旅をするのは初めてで少しドキドキしましたが、ホステルでたくさんの一人旅の人たちに出会い交流することができました。
石窟、美術館、動物園といろんな場所を共に回った同年代のお姉さんとは、彼女が高校教師ということもあり教育についてや、地方の家族観について赤裸々に語り合うことができました。日本語でも難しい内容ですが、疑問に思うと「どうしてあなたはそう考えるの?」と逐一深掘りしてくださる方だったので、真剣に言葉を交わすことができたと思います。
小さな日中交流と言えるこの出来事も、普通のコミュニケーションの延長線上にあります。物事について自分なりの考え方を持つことは必要不可欠であると、改めて感じました。