日本に居れば4月というと、桜吹雪や入学式、入社式等、 新たな生活や物事のスタートを連想させる。一方で、一般的に中国では6月に卒業式があり9月から新学期(後期は2月末から)が始まることに起因し4月には日本人と同様の感覚がないというのが私自身の考えである。日本で生活していた時はそれほど自分が日本人だと強く思ったことはなかったが、現在地に関わらず4月になると桜を見たくなり、心に新しいスタートを切ろうと思う欲望が発生したのは自分が日本人であることを一層と感じさせられた。
動画1:新学期後の口語クラスの中間テストの様子
4月15日に日本大使館にて開催された日中交流フォーラム・日本和僑会合同主催の「2023年春・日中未来実験室特別講演会」に参加した。その際、登壇者である人民中国雑誌社編集長、王衆一氏の一言が心に深く刺さった。
「留学の成果は、留学中、あなたが尊敬できる人に出会えるかどうかである。」
どうだろうか、皆さんはこの言葉を目にして何か心を揺さぶられるものを感じただろうか?上記には「留学の成果は」と入っているが、留学に関わらずこの言葉は非常に私たちが日常で行う物事の厚みと意義にあるかないかで大きな差を生む要因になると考える。何をもって尊敬と呼ぶか、それは個人差があるだろう。しかし、私の考えとして自分よりも能力が高い、知識量がある、経験値が高い等の要素だけでは「尊敬できる」という領域には入らない。目に見える能力の面で自分よりも優れているという点は絶対条件であるが、「あの人のようになりたい」という想いと共に相手の言葉・考え・行動があなたの行動や思考に大きな変化を生み出すか、その変化があってこその「尊敬」だと考える。
ここでもう一点自分の観点を述べたい。前述で複雑なことを述べてしまったが、何の根拠なしに自分で自分を尊敬するということだ。尊敬する人に出会うのは運もあると思う。最初に自分を尊敬すること、そして自分を尊敬した上で本当に自分が尊敬できる人に出会えた時、自分だけにしか生み出せない価値が生まれるのだと私は信じたい。私は留学で、自分の不足部分を考えてしまうことも少なくはない。しかしこの考えを胸に、自分は素晴らしいゲストだという想いで、4月中旬に人生初となる中国メディアによる「国際読書の日」に関する取材を受けた(取材の様子)。また一つ自分を突破できたと感じる。誰かにこの考えが伝われば幸いである。