思えば、中国に出発したのが昨年の8月29日だったので、それからもう1年弱経ちます。新型コロナウイルスが流行して後半はゴタゴタしましたが、全体としては楽しい留学生活でしたし、人生の中でも非常に貴重な1年となったことは間違いありません。ただ、ひとつ悔いが残るとすれば、留学に行く前に、もっともっと中国語を勉強していればよかった、ということです。もちろん、私も留学に行く前は、日本で買ったテキストや参考書を使って真剣に中国語を勉強していました。しかし、本当の中国語の世界は、本に載っている中国語の世界なんかより何百、何千倍と広大なものだったのです。
特に、留学中、ネット社会の発達した中国で生活するうちに、インターネット上には浩瀚な中国語の海が広がっていることに気づかされました。普段Google,Amazon,LINEを使い慣れている日本人にとって、百度,アリババ,WeChatなどに代表される中国系プラットフォームは、ややとっつきにくい印象もありますが、だからといって日本からアクセスできないわけではありません。また、中国のテレビやラジオ、動画・音楽コンテンツについても、今はネットを通じて、世界中どこからでも視聴することができます。振り返ると、私自身、中国留学前に、こうしたオンライン上にある、生の中国語の宝庫にもっともっと触れておけばよかった、と思います。
これから中国留学に行くみなさん、あるいは、中国に興味がある!というみなさんにお伝えしたいのは、今や日本にいながらでも、十分に本場の中国語を勉強できるということです。私のクラスメートだった方にも、ゼロから中国語を始めて、たった3か月間ネット上で独習しただけで、HSK5級に合格したという強者がいました。(しかも漢字文化圏でない国の出身でした。この方は天才すぎたので、さすがに参考にはならないかもしれませんが…)とはいえ、矛盾に聞こえるかもしれませんが、そうはいっても留学は最高の機会であることに変わりはないと思います。これから留学に行かれるみなさんには、日本でしっかり準備を整えた上で、思う存分中国を楽しんでもらいたいと、ささやかながら願っております。
最後になりますが、この度、中国留学という貴重な機会をくださった日本中国友好協会および関係者各位のご支援、ご協力に改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。
今後留学する人たちへのメッセージ 佐野聡 南京大学
2020/08/26