健康に新たな風を吹き込む 老舗漢方企業を訪れて

2024年10月1日号 /

9月3日から9日にかけて、総勢100名に及ぶ日中友好協会の青年訪中団が中国を訪れ、各地で交流を重ねてくれました。1週間にわたる日程の中で、日本の若者たちは成都、上海、北京といった各都市を訪れ、本場の伝統文化を体験したり、現地の中国人の若者たちとふれあったりと、大変濃密な時間を過ごしました。

全行程の最後に訪れた北京では、大興区にある「知嘛健康零号店」を見学しました。同店舗は、百年以上の歴史を誇る中国の老舗漢方薬店、同仁堂グループが運営するお店で、中国茶の新たな楽しみ方や、中医学にまつわるあれこれ、ならびに、ヘルスケアの新トレンドを身近に学ぶことができます。1週間にわたる旅の最後は、さながら「健康ツアー」となりました。

薬草などを詰めた香袋の作り方を学ぶ団員たち

「知嘛健康零号店」は、同仁堂グループが打ち出した新たな消費スタイルを体現するコンセプト店舗です。3階建ての店舗の中には計42の体験エリアが設けられており、それに加えて、漢方薬の世界最大規模の調剤スペースや「24時間」自動販売機なども併設されています。老舗ブランドだからこその風情を残しつつも、今どきのトレンドやテクノロジーも存分に取り入れた魅力的なお店に仕上がっています。

訪中団の一行は、1階から3階の順に各階に設けられた体験エリアを見て回りました。1階には、コーヒーコーナー、中国茶コーナー、焙煎コーナー、薬膳キッチン、ワインコーナーといった5つのメインエリアに加え、「24時間」自動販売機が設置してあります。団員たちはこぞって自動販売機で「盲盒」(訳註:中国のおもちゃ箱、日本でいうガチャガチャのようなもの)や健康食品を購入したり、健康のため「砂糖の代わりにハチミツを使用した」焼き菓子を試食したりしていました。2階は、理学療法がテーマの階です。団員たちは、〝象〟と〝養〟というコンセプトの下、現代の都市生活者のために開発されたヘルスケア製品に触れ、その場で体験することもできました。3階は、中医学の階になっています。3階にある世界最大規模の漢方の調剤スペースには、丹精込めて配合された1000種類以上の漢方薬が保管されており、解説員から同仁堂の誇る十大漢方薬の効能について説明を受けながら、団員たちは時おり感嘆の声を上げていました。

薬草などを詰めた香袋の作り方を学ぶ団員たち

「知嘛健康零号店」を見学しながら、団員たちは、健康ブランドのビジネスモデル、きめ細やかな医食同源の理念、オンラインとオフラインを織り交ぜた消費体験の提供といった同仁堂の誇る強さの源泉に興味津々の様子でした。ある団員はこう感想をもらしてくれました。「以前は、漢方というと〝病人〟のものというイメージを抱いていました。しかし、今日ここでの体験はそれを覆すものでした。最先端のトレンドやテクノロジーといったものに触れ、魅力的な健康体験の数々に大いに知的好奇心をそそられた一日となりました」また、ある団員は「中国人の日常生活に中医学の思想がここまで深く根付いているとは思ってもいませんでした。と同時に、最先端のものも取り入れ、健康的なライフスタイルをここまで洗練させている中国がうらやましい限りです」と語ってくれました。

今後とも、より多くの日本人の若者が中国を訪れ、今回の訪中団の団員同様、時代の先をゆく中国の新たな一面を肌で感じ取ってくれたら、と心から願っています。