初の中国映画『聞煙』を手がけた

2020年6月1日号 /

映画監督 滝田洋二郎 さん

1955年富山県生まれ。成人映画で活躍し85 年、内田裕也主演で初の一般映画『コミック雑誌なんかいらない!』を監督。88年「木村家の人びと」、90年「病院に行こう」、2001年「陰陽師」と話題作を次々に発表。08年公開の「おくりびと」は日本アカデミー賞10冠のほか第81回アカデミー賞で外国語映画賞獲得。18年、吉永小百合出演120作目の『北の桜守』公開

『おくりびと』がつないだ出会いに感謝

棺師を描いた『おくりびと』で、日本アカデミー賞作品賞、監督賞をはじめ各賞を総なめにした。それから10年余を経て『聞煙』を撮ったが、5年前に最初のオファーを受けてから2年間は進展がなかった。指名は光栄だが、自分でなければならない理由も見つからなかった。

寓話と現代の物語

最後は、企画を持ち込んだ中国人プロデューサーの熱意にほだされた。中国の田舎の物語を自分に撮らせたいという試みを、面白がってみようと思った。

原作は、中国でもまだ知られていないの短編小説。あまりに地味な内容に、「商業的には成功しないと思うがいいか」と念を押した―(続きは本紙で)