中国系2世シンガーソングライター
Limeism(リーメイズム)/寺島礼美さん
中国系2世のシンガーソングライター。ピアノと歌による演奏で、オリジナル曲と中国語のカバー曲などをSNSやライブハウス、日中関係のイベントなどで披露。2023年12月6日、徳間ジャパンよりメジャーデビューシングル「明日の天気」をリリース予定。
日本と中国との繋がり
私は日本生まれ日本育ちですが、母が重慶、父がハルピン出身です。父方の祖母が満州に住んでいた日本人だったため、このようなバックボーンの影響から、小さい頃から頻繁に中国へ帰省することが多く、小学生の頃は毎回夏休みが来るたび、母の親戚が住む上海で過ごしていました。両親は私に中国の魅力を伝えるためにいろいろな観光地に行ったり、昆劇を見に連れて行ったりしてくれました。でも日本のアニメやゲームに夢中のままでした。
そんな私が中国に興味を持ったきっかけは、水立方杯青少年中文歌曲大会というコンクールで優秀賞をもらったことです。そこから日中友好交流イベントでステージに出る機会ができ、中国に少しずつ興味が湧いてきたので言葉の勉強を始めました。拼音(ピンイン)は歌の発音確認のために、書き方はWeChatで友達と交流するために、親に聞きながら少しずつ習得していきました。中国人がよくやるような漢詩の朗読も好きで、李白の「早发白帝城」、杜牧の「山行」を暗唱したことも覚えています。
また周りに中国とのルーツを持つ友人増えるようになり、自分の中で、海外で暮らす人たちをサポートしたいと思うようになりました。幼い頃からピアノには触れてきました。習い事でクラシックの技術や基本的なコード理論を学び、好きなアニメソングから見よう見まねで作曲をしていました。アニメが好きだった影響もあり高校時代は声優になりたかったのですが、あまり自己表現が得意ではなく、大学では日本文学を専攻しました。
卒業後、一旦就職するも、音楽に触れたいという思いから一念発起してスペイン遊学していろいろな音楽に触れました。そんな矢先、父親が病気で倒れ、1年余りで他界しました。その後、翻訳やスペイン料理店の店員を経て、悔いなく自分のやりたい人生を歩もうと決意し、バークリー音楽院の夏季短期講習に参加して本格的に音楽の道を進む準備をしました。
帰国後はライブハウスや、チャイナフェスティバルなどの日中友好交流イベントで歌を披露していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で活動機会が軒並み無くなってしまいました。状況を打破するため、ライブ配信をスタートしたり、クラウドファンディングを活用したりしてオリジナルソングを制作しました。このように活動していく中で、今回のメジャーデビューのきっかけを掴むことができました。
メジャーデビューの感想と今後の目標
自分としては、音楽という虚業を続ける中で、何か一つプロだと言い切れる要素が欲しかったので、今回のデビューは本当に嬉しく思います。デビューが決まったからといっても、地道に頑張っていきたいですし、応援してくださった日本・中国、そして全ての感謝に恩返しがしたいと思っています。
今の目標は12月6日にデビューの新曲でオリコンチャートに入ることです。そうすれば中国系2代目アーティストとして初の快挙になります。次の目標は、映画・アニメ・ゲームなどとタイアップし、中国と関係するより多くのイベントにも出演し、より多くの人に影響を与えられるように、その中で自分と同じような境遇の人たちに元気を与えられるようになりたいと思っています。
(井上正順)