【特別編】 新理事長代行に聞く

2022年8月1日号 /

(公社)日中友好協会常務理事
日本JC日中友好の会名誉会長

揚原 安麿さん

1963年福井県鯖江市に生まれる。87年東京大学工学部を卒業後、IT企業・商社などに務める傍ら青年会議所(JC)活動に携わる。2003年(公社)日本青年会議所第52代会頭。現在、日本JC日中友好の会名誉会長。株式会社日本地域社会研究所代表取締役。2012年(公社)日中友好協会理事、2018年常務理事。

 

――理事長代行に就任された今のお気持ちをお聞かせください。

今年は日中国交正常化50周年という節目の年ですが、この2年間、コロナ禍の中でいろいろな事業ができなくなっています。このまま、「待ち」の姿勢でいいのか、新しい何かを「攻め」の姿勢で模索していくのかを決断しなければいけない時期だと思っています。

本年度の役員改選に当たり、「新旧一体となった改革をスタートする年」という方針で、理事長代行のご指名をいただいたのだと受け止めています。理事として当協会の運営に関わらせていただいて10年の若輩者ですが、丹羽会長・岡﨑理事長をお支えし先輩方のお力をお借りしながら、50年の歴史を踏まえ、今、やるべきことにチャレンジしたいと思っています。

 

――都道府県協会などの活動はどうご覧になっていますか。

全国日中(当協会)の正会員は各都道府県で活動されている日中友好協会であり、まずはこの間のコミュニケーションを活性化することが重要だと考えています。コロナで会うことのハードルが上がった一方でリモートで対話する環境や慣れは大きく進歩しました。地方と中央、更には中国と日本の距離も画期的に縮めたと思います。これをチャンスと捉え、これまで若干苦手意識を持っておられた方にも一歩踏み出していただき、この機会に全員でやりましょう。

もちろん、実際に会って、酒を酌み交わし握手をする意義は些かも減っていません。対面の事業を計画して、結果として自粛や中止をするよりは、交流を継続しリモートでもできる相互理解のやり方に、私たちが慣れていかなければならないと思います。その上で時々実現する宴席の機会は、もっと濃いもっと貴重なものになるのではないでしょうか。

地域単位で行われてきた良い事業にリモートから参加したり、大きな事業を合同で開催したりということができるようになると、活動の質と範囲が大きく拡がると期待しています。日頃から、ネットをもっと活用し、外部への発信力を強化したいですね。最初は不慣れでカッコ悪くてもいいんです。使ってみることが大事で、全国組織を持つ当協会の存在感にもつながります。大きなお金もかからず、あとは気持ちの問題ですね。検索でたどり着いた人が参加したり、入会してくれたりする可能性もあるかも。

 

――我々は今後どのような存在意義を求められるでしょうか。

ウクライナ侵攻をはじめとする世界情勢を見ていると、今、大きな転換点にいると思います。この流れの中で日本は、米国か中国かの二者択一を迫られることが多く発生するでしょう。私たちが現実と歴史に学び、アジアと世界の平和と安定を願うのであれば、単純な友好交流が「安全保障」とは信じがたくなっています。

当協会には、中日友好協会という中国側のパートナーがあり、全国で活動されている都道府県日中友好協会という組織があります。50年前に道なき道を拓いた先人の精神に則り、日本と中国という国家の間がいかなる事態になっても、最後の最後まで平和への期待をつなげられる存在になりたいと思っています。

そのためにも、変えるべき慣習やルールは見直し、事務局サポートから対外関係強化まで、力を合わせて取り組みます。ご協力よろしくお願いします。

(聞き手:本紙広報部)