中国人に中国語の落語を伝えたい

2020年7月1日号 /

落語家 三遊亭楽生 さん

1977年さいたま市出身。埼玉県立春日部高校卒。97年に6代目三遊亭円楽(楽太郎)に入門し「楽花生」。2001年、二つ目昇進。06年6月〜07年7月、中国語習得のため上海・北京に留学。08年「楽生」と名を改め真打昇進。演じるのは本格的な古典落語。「厩家事」などの夫婦ものに定評がある。出演の寄席、イベントに関する最新情報はホームページで確認を。http://rakusho.jp/

中国留学を糧に古典に、夢に向かう

東京・亀戸の寄席。ソーシャルディスタンスなどという、落語におよそ似つかわしくないものに倣った等間隔の客席に向かって、元凶となった新型コロナウイルスをネタにした軽妙な「まくら」を聞かせる。

いつもなら爆笑とやんやの拍手喝采となるところだが、今は声を上げるのもはばかられ、客の反応は一様に自粛ムード。甚だ勝手が違う。これも得難い経験のひとつと割り切れるか…。確かに落語家には珍しい経験をしている。1年余に及ぶ中国への留学だ。

「中学3年の時に、交換留学生としてオーストラリアに行くチャンスがあったんですが、塾の夏期合宿と重なったから断ったんですよ。後になって校長先生に呼ばれ、『確かに勉強も大事だけど、海外には君が気づいていない〝種〟みたいなものがたくさんある。それを知ることはすごく大切だから、いつか世界を見てもらいたい』みたいなことを言われて、なんか、すごく申し訳ないなと思いました。でも、もっと早く言ってくれよみたいな(笑)」 ―(続きは本紙で)