日本での夏の思い出

2023年10月1日号 /

秋の気配が感じられる季節、暑かった今年の夏の思い出を振り返る。私にとっての「日本の夏の思い出」と言えば、忘れられないのが留学初年度に一週間訪問した神奈川県湯河原町でのホームステイだ。当時をきっかけに、何度か湯河原でもステージ出演で呼んでもらうなどお世話になっており、湯河原は私の日本でのホームタウンの一つとなっている。

湯河原町は温泉街としても知られているが、地域に根付く深い文化が多数ある。その内の一つが毎年8月に開催する「湯河原やっさまつり」だ。子供から大人まで、地域の人々が個性的な衣装を纏い、お囃子に合わせて「やっさ、もっさ」と掛け声を上げ踊りながら、街を練り歩く。

湯河原国際交流協会の図らいで地域の外国人住民や留学生と初めて参加した時は日本独特の踊りを覚えるのに苦労したが、今年は9年ぶりとは言え2回目だったため、フランスやインドネシア、アメリカやフィリピンなど多国籍な仲間と一緒に楽しく踊り切る事ができた。終わった後は屋台での出店や華やかな装飾が美しい花車を見て楽しみ、最後は温泉で疲れを取る(最初にホームステイでお世話になったのが神谷温泉を営む神谷さんのお宅で、毎日温泉に入らせてもらい、この頃から温泉が大好きになった)。

2日目はBBQや海遊び、夜の花火など、私も当時心を踊らせた体験を今年は息子と一緒に味わうことができた。

仲間と踊ったパレード

湯河原だけでなく、日本には地域に根付くお祭りや催事が多く存在する。近い将来、私が体験した日本の貴重な文化体験を、今度は中国の子供たちにも体験してもらう機会を作り、バトンを繋げていきたいと心に誓いながら湯河原を後にした。

文◎王文強(おう・ぶんきょう 変面役者)