「玄学」マーケティング

2024年4月1日号 /

大家好~麻雀スズメのNANAだよ。新年度を迎えた4月、みんなお元気かな。中国では春節明けが本格的な仕事始めだけど、職場で若者が机周りに「財神」や「月老」(縁結びの神)などの縁起物グッズを置く風景をよく見かけるようになったよ。「賃上げ」願掛けグッズの販売数は前年同期比12倍のヒット商品になっているんだって。今月は若者の間で人気の「玄学」について紹介するね!


「玄学」は日本ではあまり馴染みのない言葉かもしれないけど、中国の魏晋南北朝時代に流行った哲学思想のこと。現代の具体的な代表としては星座や占い、風水、MBTI診断(16性格)など。社会環境のプレッシャーが日増しに増加するにつれて、「八卦を求める」人たちが増え、「玄学」は多くの若者が安心感を得るための「鎮静剤」となっているみたい。

若者のそんな傾向に伴って、多くのブランドも独自の玄学マーケティングを展開しているよ。

例えば、あるミルクティーブランドは、飲み物を買うと可愛い木魚の置物がもらえるキャンペーンを実施、お化粧ブランドは、新年開運メイク製品を販売。また、SNSでは散財しないためにあざはしっかり隠すこと、事業運を上げるには額を出すことなどの「玄学開運メイク」コンテンツも人気だよ。

南京小西湖観光地の「夢境託管所」(夢世界の管理所)も玄学マーケティングの有名な事例で、店内の装飾の細部一つ一つに「玄学」の要素が染み込んでいるだけでなく、オーナーは道士、店員は司夢と呼ばれ、メニューのお酒は、五石散、鸩毒、迷魂煙など古代の有名な毒薬がネーミングに使われる徹底ぶり。おみくじの内容に応じてお酒の「処方」を出したり、自分が見た夢に対応したお酒を出したりします。玄学を通してブランドの位置づけを強化し、玄学色を打ち出した社交環境を創り出し、各種の関連話題、イベント等を通じて、消費者同士に精神的なつながりを持たせているよ。


若者を引き付けるのは「玄学」という神秘に満ちた儀式だけではなく、やはり背後にある意味付け、製品が消費者にどのような情緒的価値を提供できるか。より多くの若者がより良い自分や未来を期待し、より高いレベルの精神的帰属やストレスを解放する方法を模索している今、「玄学」は製品やサービスにクリエイティブで縁起の良い意味付けをできると同時に、若者に新しい自分発見や社交の場を与えているみたいだね。じゃあ次回もお楽しみに!

文◎新出歌名子(北海道出身、北京在住。清華大学MBA修了)

 

「麻雀精神」で運気UP!