今どきのアイスクリーム

2023年7月1日号 /

大家好~麻雀スズメのNANAだよ。皆さんはどんな時、真夏の訪れを感じるかな? わたしの場合は、アイスクリームをちょくちょく食べたくなったら! この前、いつものようにスーパーのアイスケースからひとつ選んで颯爽とレジに持っていったら、20元(約300円)近くしてびっくり! 一個3~5元(50~80円程度)のものが主流だから数倍の価格だね。この状況は、「雪糕(アイス)刺客」と呼ばれ、2018年に流行語になったよ。ここ数年、店頭に並ぶアイスクリームにも色々な変化が見られているよ。


以前は、外資系アイスクリームブランド、伝統的な乳製品企業が主流だった中国のアイスクリーム市場。若い世代の新たな消費ニーズに対応して、アイスクリームは、単純な「暑気払い」としての食べ物から、こだわり原料、バラエティ豊富なテイスト、健康的かつ高品質なライフスタイルを追求するレジャー製品に転換しつつあるよ。国産の新ブランドも続々登場し、革新的な製品開発やマーケティングに力を注いでいます。

まずはご当地文化アイスクリーム。四川省の三星堆や北京の故宮をはじめとする観光地や博物館は、その場所の文化や特色を反映した造形の文化クリエイティブアイスクリームを販売し、観光客がアイスクリームを持ってSNS映えする写真を撮影する流行を生み出しました。

次に話題性を持つテイスト。定番のものに加えて、シーソルト味や塩漬け卵味、醤油チーズ味など新しいテイストが開発されています。また、老舗の調味料メーカー・六必居の「黒ニンニクアイスクリーム」やラー油メーカーの「老干媽アイスクリーム」、貴州茅台(マオタイ)酒の「マオタイアイスクリーム」など斬新なテイスト、異業種コラボアイスクリームも次々に発売され、注目と話題を集めました。

中国伝統文化の要素を取り入れたデザインも人気があり、外資系のハーゲンダッツは、2022年の春節期間に、マージャンをアイスクリームの造形に融合させたギフトボックスを発売しました。

「雪糕刺客」の代表、国産ブランドの鐘薛高は、一つ10~20元(160~300円程度)程度、高いものだと60元(約1000円)をこえる高級アイスクリームを手掛け、かつて「アイスクリーム界のエルメス」と揶揄されたよ。そんな鐘薛高が今年は人工知能技術を取り入れた低価格のAIアイスクリーム「Sa’Saa」シリーズを発売。業界初のAIがネーミング、味、設計過程に参与した製品で、文面にChat GPTも活用されました。一個3.5元と庶民的!


栄養価や健康にも考慮した低脂肪・低糖・高タンパク質のアイスクリームにも焦点が当てられ、アイスクリーム業界は多様化する消費者ニーズに対応して、ますます多元化していきそうだね。でも、アイスを買うときはちゃんと値段をチェックしなくちゃ! (泣)

じゃあ、次回をお楽しみに!

文◎新出歌名子(北海道出身、北京在住。清華大学MBA在学中)