今どきのお寺参り

2023年5月1日号 /

皆さん、大家好~麻雀スズメのNANAだよ! 5月と言えば、ゴールデンウィーク。皆さんはどこにお出かけするのかな? 最近中国の若者は、お寺に行くことが流行になっているよ。今日は「今どき」の“お寺参り”についてご紹介するね! 。


大手オンラインチケットプラットフォームの統計データによると、中国では今年、お寺関係の参拝券予約が前年同期に比べて310%上昇、90年代00年代の若者がその半数以上を占めています。「通勤と通学の間で悩んだ末に線香をあげることを選び、人にお願いすることと自分に頼ることの間で悩んだ末、仏にすがることを選んだ」というインターネット上の言葉に揶揄されるように、現代社会のプレッシャーや競争の中で、疲れや焦り、不安を和らげるため、精神的な慰めや感情のはけ口を求めて、若者はお寺に行くようです。

このお寺ブームの背景には、各地域の観光推進や、お寺側のマーケティング戦略も大きく関わっているよ。コンテンツマーケティング、若年化IPマーケティング、ソーシャルメディアマーケティングなど、差別化を図ったブランド戦略が各お寺で繰り広げられているよ。扱っている製品は大体同じようなものだけど、デザインやパッケージ、効能、プロモーション方法などでお寺は各自、特徴を出しているようです。

例えば、北京の龍泉寺では「仏系キャラクター」を創り、漫画、アニメ動画、そして周辺グッズ等に展開。杭州の霊隠寺は、杭州観光IPのキャラクターと提携して、菩提ブレスレットやアイスクリームなどの文化クリエイティブ製品を販売する店舗を開設。また、メディア編集者をネット上で公募したり、採用者の仕事内容をSNSでシェアしたりすることで若者から注目を集めました。

霊隠寺のブレスレットは、仏教の十八界を意味する18種類の玉をつないだもので、それぞれの玉には招財、平安、縁結びなど特別な意味が込められています。「左手につけたら3日間、水に触れてはいけない」などの儀式感や、限定品として希少価値をつけることで、多くの若者の精神的な需要を満たし、消費意欲を掻き立てています。

「お寺カフェ」も人気で、各種コーヒーのネーミングに禅の言葉を使用したり、ご縁を強調した「おみくじ」コーヒーが提供されたりしているよ。また、南京の鶏鳴寺は、法律相談室、心理相談室、図書館等を設置し、参観者の疑問に答えたり、伝統文化を深く伝える窓口を設けています。


現代の若者の精神的なニーズを理解して、お寺の存在や機能を正確に位置づけし、仏教文化を伝えて、若者から共感を得る。そして焼香やお参りを通じて消費シーンを創造し、ブレスレットや御守などの販売につなげる……今起きている若者の「自発的」なお寺参りやお寺経済が今後も継続されるのか、一過性のブームなのか。お寺側や地域が若者とつながり、どのような新商品・サービスを継続して提供していくのかが鍵のようだね。

じゃあ、次回の今どきをお楽しみに!

文◎新出歌名子(北海道出身、北京在住。清華大学MBA在学中)

お参りは癒しの時間!