今どきの「おひとり様」市場

2022年11月1日号 /

大家好、麻雀スズメのNANAだよ! 近年、11月11日(双十一)と言えば、中国大手IT企業のアリババがECプラットフォームのTmall(天猫)で企画した全国的な大規模セールの日というイメージが定着しつつあるけど、それ以前は光棍節、つまり独身の日(1が4つ並ぶことから独身を連想)として知られているよ。今月は今どきの「おひとり様」市場について紹介するね!


2021年の中国統計年鑑によると、中国には49416万世帯があり、そのうち約25%の約1億2500万世帯が一人世帯。その大部分は、お年寄りが一人暮らしの状態にある世帯と若者の単身世帯で構成されています。 独身の若者の消費の特徴から見ると、便利さや楽しさ、精神的な拠り所と自己向上を求めることが主な消費の方向で、この独身層を対象にした「孤独消費」の市場が近年拡大してるよ。

58同城、安住客が発表した「2021年独身青年居行報告」によると、若い独身者は、毎月レジャーや飲食・グルメ、服飾・美容などにかける毎月の出費が高く、それに伴って、旅行、化粧品、ミニ家電、ペット、外食、保険などの業界にも変化が発生しています。

飲食方面で言うと、新型コロナウイルスの流行も相まり、飲食店内にシングル用テーブルや仕切り板を導入したおひとり様向けの空間が作られたり、一人で来店したお客様用に付き添い機能があるぬいぐるみが準備されたりするサービスが誕生。また、発熱機能がついたおひとり様用火鍋などの半加工食品の販売量が増加するようになりました。

また、独身者が好む30~40平米の小型マンションに合わせて、ミニオーブンや電熱カップ、一人用炊飯器などのミニ家電の年間販売量も急増しています。

娯楽の面でも、一人旅のカスタムツアーやミニKTVなど独身者の精神的なニーズを満たすサービスや製品に人気が出ているよ。

「独身の若者の生活は単調」というのが一般的なイメージかもしれないけど、その消費活動から見ると、今どきの「おひとり様」生活はかえって多様化していて豊か。多くの若い独身者は「自分だけの小さい幸せ」を感じながら生活しているようです。

教育と収入レベルの向上に伴って、若者の消費観念は絶えず変化し、独身特有の消費文化と方式も変化しているため、若い独身層が今後の中国の消費動向を決める、とする統計報告もあります。


このように「孤独消費」は複数の業界を牽引し、大きなビジネスチャンスになりつつあるけど、一方で独身世帯の割合と規模が拡大することで発生しうる現実的問題を懸念する声も上がっています。結婚や出産のコストが高すぎるなどの問題を解決するため関連の政策とサービス提供などが主張される中、おひとり様向けの市場が今後、どのように変わっていくのか要注目だね。では、次回をお楽しみに!

文◎新出歌名子(北海道出身、北京在住。清華大学MBA在学中)

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