尾崎 優花さん
愛知県立大学中国学科在籍中に上海師範大学へ留学。卒業後は、名古屋市内のWEB制作会社でWEBディレクター、ライター、マーケターなどの経験を経て、現在は東京のWEBマーケティング会社でデジタルマーケティングに従事。
「日本と中国の違いを面白がる」。異国で生活をし、経験を積むということは簡単なことではありません。しかし尾崎さんは違いを面白いと思える感性を大切にしていると言います。できる努力を積み重ねていくうちに出会えた沢山の人々の一助から、中国語のスキルアップを果たした尾崎さん。今回はその努力の軌跡を伺いました。
■そもそも中国語の勉強に火が付いたきっかけは何でしたか。
驚くことに留学してから火が付いたと言っても過言ではありません。もともと高校時代は3年間英語の専門コースで英語漬けの日々でしたが、中国語も話せたら今後にとても活きると思い勉強することにしました。
しかし留学を見据えた友達が周りに多くいた一方で、留学をすることまでは考えていなかったため、在学中は単位を取る程度の受身な学習でした。
ただ仲の良い友達の留学に感化されたことで、自分も留学を決めたんです。結果、留学先では一番高いクラスに所属が決まってしまいました。授業も全く分からないし、先生の言葉も周りのクラスメイトの会話も聞き取れない日々でした。しかし、そこで学んでいくことになったからには努力を重ねるしかないと判断して火が付きました。
■実際に大学生活はいかがでしたか、最も注力したことは何ですか。
「今後も周りの会話についていけなかったらどうしよう」という不安を燃料に受け身の学習から攻めの学習に切り替えました。積極的に言語交換をしたことでスキルの上昇を感じました。実際「頑張ってもできないこと」と「頑張ったらできること」はあるかもしれないですが、言語交換という行為自体は「頑張ったらできること」に分類されると思います。自分で学習のハードルを下げていくことはとても重要なことでした。
授業内容は基礎的なスピーキング、リスニング、ライティング以外にも、日常会話からビジネス会話、社会風土から中国料理に至るまで多様で密度が高い内容でした。しかし下校は比較的早く、ヘビーな宿題が出ることもありませんでした。そのため、授業以外の時間を言語交換などにあてていましたね。
■いきなりハイレベルクラスに配属された尾崎さんですが、なにか特別な学習はしましたか。おすすめの勉強法はありますか。
中国留学当初、クラスメイトのレベルの高さに圧倒され、自分の中国語力に自信を失くしていたものの、留学を終えて日本に帰国する前にはHSK6級を取得することができました。地道にできることを積み重ねていくのみです。
おすすめは一部を中国語にしてみることです。例えばいきなり中国語で中国のコンテンツを理解するのは難しいかもしれませんが、洋画を見るときに字幕だけ中国語にしてみるのは良いかもしれません。中国語のピースを少しずつ広げていくと良いと思います。
■今の生活に留学経験は活かされていますか。中国語に触れる機会はありますか。
YouTubeや抖音でのコンテンツ発信や中国語学習のオンラインコミュニティの運営を行っています。自分の中国語力を高めつつ、中国語を学習したい人にも役立つコンテンツづくりをしたいと思っています。
最近は中国のコンテンツも面白いものが多いですし、抖音などから新たな流行をキャッチして楽しんでいます。
■最後に日中の懸け橋を志す若者へメッセージをお願いします。
私が過ごした上海での留学生活は10ヶ月と、それほど長いものではありませんでしたが、とても密度の濃い時間を過ごすことができたと思っています。実際に出会う人、触れるもの、全てが新鮮で学びとなりました。初めて中国に行って留学生活を送る、という人にとっては、日本で当たり前に過ごしていた生活と比べると、毎日が驚きと発見の連続かもしれません。
日本と中国の違いを面白いと思う感性を大切に、色んな人と関わってみてください。それが懸け橋への一歩になると思います。
取材後記
スタートから今まで楽しんで中国語と向き合う姿勢に羨望する限りです。特に、できない自分を認めて、受け身から能動的に切替え努力を重ねた経験を話す彼女のかっこよさは何にも代えがたいものでした。身近なツールを上手く活用することでもスキルアップを図る様子が見られたので、自分も参考にして、中国語と付き合っていきたいと思います。
(武蔵野大学 菊地里帆子)