『西湖畔に生きる』先行上映&トークイベントレポート
9月27日(金)公開の映画『西湖畔(せいこはん)に生きる』の先行上映会が8月24日、東京都内で開催された。本作を手がけたグー・シャオガン監督が来日し、上映後のトークイベントで観客と交流。映画の余韻と観客の熱気で、会場は大いに盛り上がった。
本作は、中国・杭州の西湖を舞台に、母と息子の絆を描いた感動作。監督は、本作と前作『春江水暖~しゅんこうすいだん』(2021年4月号「中国映画を語る49」)を「山水映画」と称し、中国の伝統的な山水画の美しさを映像に取り入れることを目指した。前作ではゆったりとした時間の流れの中で〝長回し〟を多用して家族の絆を描いたのに対し、本作では〝ドローン撮影〟を使い、山水画の「ひとつの画面に、複数の空間・時間を並べる」方法を取り入れたと明かした。
最後に監督は「今日は遅くまでありがとうございました。おやすみなさい!」と笑顔で締めくくり、イベントは温かい雰囲気の中、終了した。
なお、本作は中国で初めてマルチ商法を扱った意欲作でもある。息⼦役の⼈気俳優ウー・レイ、⺟役の実⼒派俳優ジアン・チンチンが織りなす人間ドラマも見どころだ。この秋、息をのむような映像美と心を揺さぶる物語を、劇場で体験してはいかがだろうか。
グー・シャオガン[顧暁剛]
1988年⽣まれ。浙江省杭州出⾝、杭州在住。初⻑編作品『春江⽔暖〜しゅんこうすいだん』が、2019年カンヌ国際映画祭批評家週間クロージング作品に選ばれ、同年の東京フィルメックスで審査員特別賞を受賞。2020年カイエ・デュ・シネマ誌年間ベストテン、2021年キネマ旬報誌外国映画ベストテンにも選出。本作を出品した昨年の東京国際映画祭で⿊澤明賞を歴代最年少で受賞。中国映画界の未来を担う存在として期待されており、次回作はラブストーリーの要素が強くなる「山水映画」に挑戦する予定。