山東省臨沂市蘭陵県で国際野菜生産博覧会開催
ロボットやAI(⼈⼯知能)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)などの技術やデータを活用し、農業の⽣産性向上を図る「スマート農業」が急成長しているといわれる中国。書家・王羲之の故郷で、野菜の生産地として知られる山東省臨沂市も、例外ではない。温度管理、水やり、肥料やり、換気などは自動制御され、作業の効率と野菜の品質が向上しているだけでなく、農業従事者の収入増加にもつながっているという。
臨沂市蘭陵県で4月12日に開幕した国際野菜生産博覧会に、日本から大阪府・奈良県の日中友好協会関係者4人を含む計12人が山東省臨沂市から招待を受け、現地に赴いた。最先端技術を駆使した中国スマート農業の実態を視察したほか、農業の分野で共通点も多い日本との友好関係の深化を望む声を臨沂市政府関係者から直接聞けたことも、大きな収穫となった。
臨沂市蘭陵県・国際野菜生産博覧会 参加報告
「絆を深く」
人の血管のように張り巡らされた高速道路。車の流れは血流の如く淀むことなし。「中国は生きている。躍動している」これが実感であった。
4月11日から14日まで、山東省臨沂市のお招きで、蘭陵県で開催された国際野菜生産博覧会に参加した。日中友好協会からの参加者は、大阪府から大薮二朗副会長(本部常務理事)と谷川昭理事、奈良県から筆者と柯成鋼副会長の、計4名。我々は、青島から山間の道をバスで4時間(帰途は高速鉄道(新幹線)で2時間)、蘭陵県着は午後7時を過ぎていたが丁寧な出迎えを受けた。
翌日の開会行事は野外で実施。多数の出席者で溢れかえった。政府要人の挨拶に始まり、担当者の成果報告まで2時間半に及んだ。日差し増す中、大きな扇を日傘がわりにと渡してくれた職員の心遣いに感動した。
広大な敷地にはいくつものパビリオンがあり、各種催しがあった。その一つ、農産物による造形展示を見学した。何万本かのトウモロコシで作った天安門、ごぼう、玉ねぎ、にんにくで作った農村風景等々、大作に見惚れた。
翌日は、近代化された農業施設を見学。スケールの大きさに驚いた。さすが蘭陵は農業の県である。
その後、王羲之記念館で文字文化の興に入り、庭園内で子どもたちが大きな水筆で石畳に字を書く様に感心。門前の焼芋の味も忘れられない。
夕食前、臨沂市の芸術公園に行く。大都会の街中に、世界の著名な造形物の実物大コピーを展示している。周遊には約2時間の広さ。親子連れが多く散策していた。子ども達が生活の中で書や造形を身につける環境が羨ましかった。
市政府の方々のことば「臨沂市は山東省の中で唯一、友好都市がない。是非、友好関係を築きたい」を胸に刻み、帰国の途についた。
(奈良県日中友好協会会長 天根俊治)