加藤 裕紀子さん
2013年中央大学法学部法律学科卒業、空手部副将。2013年~2017年中央大学職員、2017年復旦大学へ1年留学(中国政府奨学金生)、2018年北京語言大学へ半年留学、2019年から日本語教師を務める。2021年~現在中国江蘇省無錫市ボストンインターナショナルスクールの日本語教師。インターナショナルスクールに通う5歳から11歳の児童に日本語を教える傍ら、通信の大学院で言語や文化について学び、修士号を取得中。
「異文化理解は、自己理解から。」
相手と仲良くなるためにはまず自分を理解し、自分を表現するところからだと話してくれた加藤さん。そして「相手のことを知りたい」という意思をきちんとみせることが重要だと言います。
中国のインターナショナルスクールで英語と中国語を駆使し、日本語教師として教鞭を執るに至った秘密を伺いました。
■初期の中国語勉強方法を教えてください。
最初は独学だったので携帯アプリを愛用していました。まずはできるだけ多くの単語を覚えることが重要だったので最適でしたね。慣れてきたら、中国語字幕で映画を観賞したり、中国語でカラオケをしたりも良いと思います。そういう積み重ねで留学前にHSK4級を取りました。
最近は抖音や小红书などのアプリも発達していますし、日本にいるうちから中国に関する知識をいれておくと安心ですよ。
■はじめての中国留学生活はいかがでしたか?
総じて怖がらないで挑戦するべき!ということを学びました。
最初は食事にも一苦労。デリバリーがメインでしたが、困ったときは警備員さんに電話を代わっていただいたこともあります。
しかし、慣れてきてからはレストランに行くことも増えました。因みに中国では汚いお店の方が安くて美味しいんですよ。
友達と思い出を作ることもできましたし、旅行もできたので、楽しい留学生活でした。
■復旦大学の授業内で印象深い出来事は?
スケジュールは午前中に授業、午後に宿題という生活でした。
大変だった授業内容はスピーチです。読み書きはできても、スピーチを覚えて発表するハードルはとても高かったですね。しかしそれを乗り越えたからこそ、今に活かされていることがあると思います。
■現在のお仕事内容は?
国際バカロレア(IB)が導入された江蘇省のインターナショナルスクールで日本語教師をしています。
平日8時出勤で5コマ授業し、その後は週に一度空手クラブ活動をみていますね。大学時代に空手部副将だったことを活かして奮闘中です。
「日本語の授業が一番楽しい!」という子どもたちからの言葉を励みに、知的探求心をくすぐるような授業展開を志しています。
■スキルアップのためにしていることは?
通信で大学院に進学しました。日本語を教えるにも、もう一度勉強した方が良いと思ったからです。420時間の日本語教師養成講座も受講しました。
仕事は17時までには終わるので、そのあとの時間は院生として勉強に励んでいますよ。時間の使い方を工夫すれば、社会人をしながら学生を全うすることも可能です。
■最後に
私の職場は国際色豊かで多様性が磨かれるのでとても楽しいです。
今実感していることは、英語も使えた方が良いということですね。3か国語使えると中国国内でも活躍できるフィールドが間違いなく広がります。
そして自分自身の強みなどを理解することも重要です。自分の心の内をあかさないと相手の本質を知ることも難しいです。相手と楽しく交流していくための第一歩は、自己理解です。
私自身、今後も中国で活躍していきたいと思っているので、学びを止めずに頑張ります。
取材後記
アンラーニングを続ける姿に大変感銘を受けました。中国で職を得て活躍しているという経歴の時点で目を見張りましたが、学習を続け、知識を循環させている事実に心動かされた取材時間でした。
先生という職業柄か、大変丁寧に分かりやすく説明していただき、私の初歩的な質問にも快く答えてくださって嬉しかったです。今後中国留学を志す方にとって必要な情報はある程度ネットに落ちているかもしれませんが、こうしたリアルな努力や体験こそ参考になり、安心材料になると思います。今後の日中を担う若者に送る良い話を伺えた密度の濃い時間でした。
(武蔵野大学 菊地里帆子)