神奈川県協会主催の日中国交正常化50周年記念イベント「治水神禹王と徐福伝来展」が、11月2日~8日に地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)において開催された(12月19日~22日、かながわ県民センターでも開催)。後援は神奈川県、(公社)日中友好協会、中国大使館など。会場では禹王と徐福に関連した写真と漢詩が一堂に展示され、連日多くの来場者でにぎわった。
11月4日には地球市民かながわプラザ映像ホールにて記念講演会を実施。聴衆は70人を超えた。
最初に治水神禹王研究会会長で佛教大学名誉教授の植村善博氏が、古代中国夏王朝を開いた伝説の王である禹が日本で治水神として崇められるようになった理由などを解説した。興味深かったのは、165件に上る国内の禹王関連遺跡が関東と中部地方に集中しており、これらの地域がそれだけ自然災害に苦しめられてきたという考証だ。神奈川県が都道府県別トップの24遺跡というのにも驚かされた。「禹王遺跡は今も次々に発見(認定)されているし、禹王にちなんだ建築物も造られている。現在進行形なんです」の結びの言葉が印象に残った。
続いて演台に立ったのは「徐福」代表の池上正治氏。秦の始皇帝の命を受け不老不死の薬を求めて日本にやってきたと言われる徐福。「中国国内の徐福像は(日本がある)東方を向いてきりっと建つ」「『徐福は中国で生まれ、韓国を経由し、日本で死んだ』という名言に感動した」など、ロマンに満ちた内容で作家でもある一面をのぞかせた。中国では遼寧省から大陸を貫いて香港、台湾まで、日本では九州から北海道まで徐福伝説があるとも述べた。
紹興酒を扱う大手の古越龍山社からは東京事務所所長の夏良根氏が登壇した。日本にゆかりの深い文豪の魯迅や周恩来元首相の故郷でもある紹興市が、禹王の活動拠点だったと紹介。茅台酒に代表される白酒が宴席での主役と見られがちだが、周恩来元首相がニクソン米元大統領をもてなしたのをはじめ外交の場で、また日常で欠かせないのが紹興酒なのだと胸を張った。
この3人による鼎談を経て講演会が終了。場所を移して、協会会員を中心とする交流会が行われた。古越龍山社と夏所長の厚意による紹興酒の試飲会も実施。5リットルの甕が封切られ、参加者にまろやかな古酒が振る舞われた。
禹王と徐福。永遠の謎である彼らを論じることが、日中の民間交流にとても似つかわしいと感じた。
(神奈川県日中友好協会 吉田雅英)