【結果発表】日中国交正常化 50周年記念企画③作文

2022年10月1日号 /

 

(公社)日中友好協会は2022年7月11日~8月10日、日中国交正常化50周年を記念して「これからの50年を展望し、未来の日中友好交流への思いを綴った作文」を会員・読者から募集しました。

ご応募くださいました皆様、誠にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。

厳正な審査により選ばれた作品を発表いたします。

 


最優秀賞

 

「歴史を乗り越えて、現代に生きる」

中国上海市 関本美愛さん

 

今年、日本と中国が友好関係を結んで50年という節目を迎える。この歴史的瞬間に立ち会えるのはとても光栄だ。だがこの節目を喜ぶだけでは無く、過去を振り返る重要な年と意識することが必要である。

現代の私たちの関係に大きな影響を与えてきた日中戦争は過去を振り返る為に避けられないテーマである。日本人と中国人の感覚・価値観の違いという視点からお互いの国の戦争をどのように振り返るかということが重要だ。中国では日中戦争のドラマは数多く放送され注目される機会が多い。しかし、日本では私の祖父母の時代には日中戦争のドラマがよく放送されていたと聞いているが、私自身は今まで見たことも聞いたこともない。それ故、私は日本と中国の間で日中戦争の関心度合いに差があると感じた。日本にとって戦争をした歴史は決して忘れてはいけない事実である。どんな理由があろうとも人を蔑ろにしたり、殺めたりすることは許されない行為だ。日中戦争で日本は中国に辛い経験をさせ、同じく日本でもこの戦争に苦しめられた人がいて、お互いに傷を負い悲しい経験をしたことを決して忘れずに誠実に向き合っていく必要がある。

中国と日本は地理的にも近く、はるか昔から交流が盛んに行われて来た。漢字は日本の文化に深く根付いており、日本人は多くの中国の歴史や文化を共有してきた。私はそのような中国を古くからの友人のように思う。どんなに親しい友人でも、何かしらの問題が起こることはあると思う。多くの人はそういう問題を苦難と捉え逃げ道を探す。しかし、私は問題が起こるということは、問題を乗り越えて相手と関係をより強く深くするチャンスなのだと考えている。だからこそ、次の50年間は、お互いの幸せを願える親友のような関係になれると信じている。そして、これからも中国の方々と交流をして、より多くのことを学び合い、日中の歴史を踏まえて、そのような関係性を築くことができるよう努めたい。

 

優秀賞

 

「100年先を見越して」宮城県 木村吉貴さん

 

「中日の明るい未来を切り開こう」東京都 王 霽月さん

 

佳作

 

「出来ることから実現してみよう」宮城県 中島亮祐さん

「日中友好の礎となれ」山梨県 土橋 寿さん

「国交正常化50周年に思う」京都府 福本美紀子さん

「この先50年の日中交流」京都府 森下 大さん

「友好関係を継ぐ次世代の若者へ」大阪府 坪井道明さん

「各地区協会に青少年交流の担当者を」福岡県 大塚順子さん

 


【審査員全体講評】

本企画最終回となる《作文》部門には、10代~80代による計16作品が寄せられた。いずれも、各々の立場や視点で一生懸命に考え抜いたことが綴られていることがよくわかり、さまざまな日中友好への気持ちがあることに感激した。

最優秀賞の関本美愛さんは、日本では日中戦争のドラマを見たことも聞いたこともない、という世代だ。そのような世代に未来の日中友好を託す側として、歴史を踏まえた上でお互いの幸せを願える関係性を築きたいという気持ちを、これからもどうかずっと忘れずにいてほしいと思った。

優秀賞の木村吉貴さん、王霽月さんは、それぞれの経験から深く感じたことを、日中両国の未来を見据えて丁寧に論じてくれた。佳作6作品も未来の日中友好交流についての示唆に富み、気づかされることが多かった。

本企画へのご応募、ご協力に心より感謝申し上げます。皆様の積極的な思いがよい連鎖をもたらし、日中友好の明るい未来に繋がることを願います。誠にありがとうございました。

(公社)日中友好協会 日中国交正常化50周年記念企画 審査委員長 大薮二朗