日本と中国NEXT アモア万里奈さん

2022年6月1日号 /

アモア 万里奈さん

2013年9月~2014年7月に北京語言大学へ留学し、中国語を専攻。
北京での生活を通して中国文化に惹かれるとともに、貧困や社会格差に関心が芽生えたことから、復旦大学大学院へ進学し公共政策学を専攻。
同大学院修了後は、PMOとしてビジネスコンサルティングファームに所属。その後、独立行政法人国際協力機構(JICA) 国際協力推進員として、主に国内自治体・民間企業・NGO等の国際協力への参加促進、自治体の教育機関向けに、開発教育の推進及び教員研修等を担当。

 

――はじめは四合院や胡同の雰囲気に惹かれました。中国を好きになりました。

独立行政法人国際協力機構(以下JICA)の国際協力推進員として活躍され、現在はご家族の仕事の都合でオランダに移り住み次のキャリアを模索されている、(公社)日中友好協会奨学生OGアモア万里奈さんに話を伺った。国際的で挑戦し続けた20代の経験をはじめ、最後には若い世代への熱いメッセージをいただいた。広い世代の方々にフレッシュな考えを知っていただき、国際的に活躍したいと考えるすべての若者にアモアさんの想いを届けたい。


■北京語言大学と復旦大学大学院へ留学経験があるとのことですが、二度にわたり中国へ留学をされたことを興味深く感じます。詳しく教えてください。

学部時代に北京語言大学へ語学留学をしました。大学院在籍中にダブルディグリープログラム(※)を利用し、復旦大学大学院へ留学し、中国医療制度と健康保険制度についての修士論文を提出しました。専門分野を研究対象の地で学ぶことは、参照できる文献が多い点や教授に中国人の意見を聞くことができた点で実りのある経験でした。

大学院でも中国へ留学しようと思った理由は、やはり日中友好協会を通じた学部生時代の中国留学の影響が大きいです。一方で、中国文化を楽しむ余裕のあった学部時代の留学と比べ、大学院への留学は達成感を感じたものの体調を崩すほど厳しいものでした。

※条件を満たせば留学先の大学の学位号が取得可能な留学制度

 

■中国での留学がその後の仕事や生活で活かされていると感じた実体験を教えてください。

まず仕事に関しては、大学院修了後にコンサルタント会社に勤めましたが、社会のより幅広い層に寄り添いたいという思いからJICAへ転職し、国内の自治体、企業、団体とともに国内の国際協力の地盤を作っていく業務に携わりました。社会課題に貢献したいという思いは学生時代から変わらず持ち続けていて、自らの職探しにも中国留学での経験が強く影響していると感じます。

次に生活面では、マイノリティとして中国社会に受け入れられた経験から、外に出たことのない人たちよりも、訪日外国人にさっと手を差し伸べられるような異文化に寛容な姿勢が身につきました。また異国の社会制度を研究対象としたため、国際情勢をよみとく際に、異なる文化的・歴史的背景を踏まえて解釈することができるセンスが身につきました。

 

■中国留学だけでなく大学院卒業後も国際協力に携わり、現在はオランダへ移住されたとのことで国際色がとても豊かだと感じます。中国への留学を考えている学生や国際的に活躍したいと考えている学生へメッセージをお願いします。

日本人と中国人は根源的な価値観を共有しており、表面的な文化は違っても心の奥底にあるものは似通っているのではないかと考えます。それゆえ世界に出たときには親しみやすさを感じやすいと、国際的な経験を通し実感しています。

私が中国へ留学すると決めたとき、身近な人たちに心配から中国文化に対する軽率な言葉をかけられたことがありました。若い世代の方々には、自分の成し遂げたいことがあるならば強い心でチャレンジしてほしいです。経済的政治的に存在感を増す中国でしか経験できないことがあるので、外に出る恐怖心を捨てまだ見ぬ世界に飛び込んでください。

 


取材後記

アモアさんの経験談は、私の今後数年間の人生に重なる所があり刺激的であった。私もダブルディグリープログラムを利用した中国留学を控えており、また将来的に社会のあらゆる層の役に立つような仕事に携わりたいと考えているのである。インタビューを通し、息苦しくなくありのままに生きるアモアさんの姿がとても素敵に映った。彼女の言葉はきっと若い世代へ届くだろう。巡り合わせたような出会いに感謝し、この白く大きな気持ちを胸にしまう。

(早稲田大学3年 彭知音)