コロナ禍を機に急激に進むオンライン化。「インターネット等の回線を通じてつながり、場所や距離に縛られず事業・業務が行える状態」は、業務の効率化、遠方の人との交流、横のつながりが広がる一方で、現場の一体感が生まれにくい等の課題も…。本紙では、3月からオンラインを生かして精力的に日中友好活動を行う都日中友好協会青年委員会の于子豪委員長に取材を行った。(本紙編集部)
都日中友好協会青年委員会委員長
于 子豪さん
―3月以降は青年委員会の定例ミーティングもオンラインで実施していると聞きました。
はい。コロナ禍を機にオンライン化して、2カ月1回の頻度で実施しています。定例ミーティングでは先々月~先月の活動報告や今後のイベントの協議、興味があればプロジェクトチームに入って一緒に活動しましょうという声掛け、今後何がやりたいかなどを話し合っています。
―オンライン化したことで実現できたイベントもあるのでは?
そうですね、実はオンラインイベントへの参加は中国にいる中国人が多く、過半数は中国人なんです。つまり中国の人たちとの接点が以前より増えてきています。
オンライン化以降、イベントの参加者たちのグループをWeChatでつくっています。そこで新たなイベント開催のアナウンスもできて招集もスムーズになりました。
コロナ禍前のイベントのように会場の確保も、チラシも、スタッフが会場設営をする必要もなく、今まで接点のなかったような海外の方たちとのつながりができた。便利なのは間違いないです。
―デメリットは?
「交流」という面で足りないところは確かにあります。また、発表者はリスナーの顔を見られず反応がわかりにくいので、内容が自己中心的になってしまいがちかもしれません。そこをどう盛り上げることができるか…。
中国のネット環境が悪くて発表者の画面が急にフリーズしてしまうなど、その間を埋める司会者の能力が問われることもあります。
―オンラインの特性を活かせたイベントについて教えてください。
7月に行った「第1回日中旅行若者ワークショップ」は、青年委員会主催のオンラインイベントで最多の総勢241人が参加し、日中間の若者たちが大いに盛り上がりました。
3グループが独自の旅行ツアーを企画・プレゼンし、株式会社JTB、ENtrance株式会社、一般社団法人日中ツーリズムビジネス中央広播電視総台のご担当者様を審査員に招待させていただき、それぞれのツアー内容を評価していくというものです。
協賛企業からは、参加者への賞品総額10万円を寄付いただきました。また、当初はZoomの予定でしたが、接続テストで中国側で多くのユーザーがアクセスできない事態が発生し、VooV Meeting(テンセント会議システム)を使用しました。Zoom有料会員は100人が定員のようです。
—コロナの影響で留学が中止となっている学生のための交流会も行われたのですね。
北京市人民対外友好協会と共同で「東京・北京首都圏青年オンライン交流大会」を8月に実施しました。
東京ー北京への留学が中止となってしまった大学生など、日中交流に関心のある青少年・社会人に、東京・北京という両国の
首都を理解するきっかけの提供が目的です。
東京都と北京市の穴場スポットやオリンピックの状況など最近のトピックを紹介。また、座談会や日中韓の友好を表すイラスト、書道パフォーマンスの披露も行いました。
―参加者同士の横のつながりも活発になりそうですね。
中でも9月下旬に行った「日本在住華僑華人の就学について考える会」では、子ども時代に親の都合で日本に住むことになった現在社会人や大学生計3人の方に登壇いただきました。
現在、日本の生活で苦労している華僑華人や、そうした学生を指導する日本人の学校の先生、自分の子供の帰国後の教育についてなど、近い悩みを持っている約50人が参加しました。登壇者3人の経験を聞くと、やはり苦労されてきたんだなと。
ただ皆さん自分のアイデンティティをきちんと認めていて、自信を持って生きているんですよね。先輩としての経験、苦境の乗り越え方など、自分の将来の人生を考えるきっかけにもなり、勇気づけられた参加者も多かったようでした。
また、このイベントでは、日本にあるいくつかの華僑華人の団体の皆さんに興味を持っていただき、今後一緒に活動する話も出たようです。こうしたオンラインイベントをやることで、これまで以上のつながりが増えてきていることを実感します。
―コロナが収束してきても、オンラインイベントはなくてはならないない存在なのでは?
終息してもなくなることはないでしょうね。ただ今後どう付加価値をつけるか、皆さんに楽しんで参加してもらえるか、イベントの質向上が課題です。
バーチャルツアーみたいな中国世界遺産巡りなど、家にいながらにして旅行者気分を満喫できるような企画もおもしろいですね。
「日中旅行ワークショップ」第2弾の年内実施も検討しています。参加者が一体感を味わえて、盛り上がれる企画を模索しながら実践していきたいです。