許楽 ②

 

東京の暑さもようやく和らぎ、心地よい秋風が吹き始める季節となりました。以下に、夏休みの活動を中心に学業面および生活面の近況についてご報告いたします。

 

 学業面

中国における失業対策の政治過程をテーマとする博士論文を執筆するために、私は夏休みの機会を利用して、8月に中国上海市と廈門市、9月にアメリカロサンゼルスにて、それぞれ一週間の資料調査を行いました。

上海市では上海市档案館と上海市図書館、廈門市では廈門市档案館と廈門市図書館に訪問し、とりわけ改革開放初期の1980年代の失業問題対応策をめぐり、地方レベルの政策資料を調査しました。そのなかに特に注目しているのは、「労働服務公司」という行政機構と企業組織の性質を同時に兼ね備えた機構であります。これら貴重な地方レベルの資料から、1980年代初期の失業問題への対処において、同機構が果たした重要な役割や、その政治過程における限界が窺えることができ、論文執筆に必要な資料を収集することができました。

また9月の上旬では、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に訪問しました。UCLAの図書館では、中国現代史研究にとって非常に貴重な資料群が所蔵されており、広い分野の各レベルの政策資料、歴史文書が眠っていました。そこで一週間ほどの資料を集めており、建国初期の労働政策史料から1990年代の労働統計資料まで、幅広い資料を収集することができました。さらに、10月の上旬には香川大学で開催されるアジア政経学会秋季大会に参加し、多くの研究者と交流することができました。

これから、夏休み中に収集した資料の整理と分析の長い作業に入りますが、博士論文の土台をしっかり築き上げ、論文執筆に励めたいと存じます。

 

 生活面

この夏休みはいろんな出張でバタバタしておりますが、多くの新しい体験をさせていただきました。

9月上旬のアメリカ出張は、私にとってはじめてのアメリカ訪問でしたので、緊張と期待が入り混じる日々でした。その一週間は図書館の開館時間いっぱいを使い、ひたすら資料収集に没頭しましたが、合間には大学近くを散歩し、キャンパスの開放的で活気に満ちた雰囲気を楽しみました。

 

 

また、10月上旬の香川での学会参加も、私にとってはじめての四国訪問でした。短い2日間の滞在でしたが、うどんを5杯いただきました。東京に戻る日の朝は、金比羅宮にお参りに伺いました。ちょうどその日は「こんぴら石段マラソン」のイベントが開催しており、私が30分かけて登った785段の階段を、選手たちは7分で駆け上がる様子に感心しました。本社から眺めるすてきな景色はもちろん、街全体が参加者を応援する光景にも心が温まりました。その日の夜には、5杯目のうどんをいただいた後、はじめて乗る日本の寝台車「サンライズ瀬戸」に揺られながら、東京に戻りました。

はじめてのことはいつも緊張しますが、そこから得た貴重な経験とエネルギーを大切にし、引き続き論文執筆に励みます。