陳歓②

学習面

修士論文執筆の準備と並行し、7月中旬に開催された哲学若手研究者フォーラムで、和辻の思想体系における儒教思想の受容を題として発表しました。その中で新しい角度から和辻の思想体系について分析し、好評を得ました。また、京都大学や北海道大学など日本全国の大学から集まってきた優れた研究者たちと交流した経験は、人脈作りに役立つのみならず、異なる考え方を持っている人々と様々な意見を交換することも、私にとって大きな刺激になりました。その発表内容をもとにして、来年(2025年)3月に哲学若手研究者フォーラムのホームページ及びJ-stageに掲載される予定の『哲学の探求』第52号に論文を投稿することとなりました。そのため、夏休み中、修論の執筆と並行し、論文の投稿も準備していました。
8月に日本倫理学会大会の準備作業の業務補助を行ったことをきっかけに、東京大学哲学研究室所属の博士後期課程在学中の先輩たちと濃密な時間を過ごしました。特に現象学研究をメインとしている先輩とともに、和辻の思想をめぐって現象学的な視点から様々な話をしました。それから、しばしば連絡を取り、先輩からメールを通じて助言を得たりすることで、自身の研究をよりブラッシュアップさせることができました。
9月末に、京都大学で開催された日本倫理学会第75回大会に足を運び、たいへん興味深い話をたくさん聞きました。例えばいつも盛り上がっている、様々な日本の文化や宗教・思想と深くかかわっている天皇・天皇制の諸問題をめぐる議論は、古代から現代にわたる天皇の歴史的・思想的多様性を踏まえて展開されました。思想史的文脈の中で日本の天皇・天皇制と中国の儒教思想との関わりや、近代日本の国民道徳論と思想的に対峙した和辻の解釈などのような、私自身の研究にとってかなり貴重な話も今回の議論の中で展開され、研究の糧となりました。

 

生活面

余暇時間を活用し、友達とともに色々な展覧会場や名所を訪れました。
東洋美術史専攻の修士の友達と一緒に東京国立博物館で開催された神護寺創建1200年記念の特別展――「空海と真言密教のはじまり」をはじめ、根津美術館の「美麗なるほとけ」企画展など、仏教芸術に関する数多くの展覧会を見学に行きました。また、8月に、国立新美術館で開催された、日本国内だけでなく海外でも大人気な創作集団であるclamp社の特別展に行きました。華美な絵画や多様なテーマによって作られた多彩なアニメの世界を歩き回ることにより、日本文化の一環として重要な地位を占めている日本のコミックス・アニメの魅力を存分に体感しました。
9月には日本倫理学会見学後、京都市内を散策したり、古寺巡礼をしたりしました。銀閣寺と南禅寺の間を結ぶ散歩道は、近代日本の哲学者である西田幾太郎などがよく歩いて思想に耽っていたことにちなんで、「哲学の道」と名付けられました。脇を流れる運河は、日本最大の湖である琵琶湖から引かれた疏水らしいです。この細長い散歩道で、同伴しているお茶大の後輩たちと学会の余韻を楽しみながら散策することを通じ、昔の思想家たちと時間を超えた交流によって繋がったような気がします。その後、私たちは、唯一残る平安京の遺構であり世界遺産として登録された東寺、舎利殿金閣が有名なため「金閣寺」とも呼ばれている鹿苑寺、また、平安時代の学者・政治家である菅原道真公が学問の神様としてまつられている北野天満宮に、順番に見学しました。
勉学によるとても充実した日々及び友達同士との笑い声の中で、修士二年の夏休みにも終止符が打たれました。これからは、修論の執筆と博士後期課程の進学の準備に集中して一生懸命頑張ってまいります!

 

〈鹿苑寺(金閣寺) 〉

〈clamp展〉