姚暁彤①

今年は、博士前期課程二年に上がり、研究面においても生活面においても新しい変化がたくさんありました。具体的には以下の通りです。

研究面

私の研究は主に全体主義体制及び戦争犯罪にまつわる内容となっております。去年一年間は集団責任について研究を展開しました。今年に入り、集団のなかの個人責任の部分を整理しはじめました。

個人責任を論じる際に、戦争犯罪の性質と戦争国の法体制などを考慮しなければなりません。それらの問題を明確にするため、私はさまざまな文献を読みました。殊に第二次世界大戦時ドイツの法律及び当時の国際法について大量な調査を行いました。去年と比べ、論文を読む量がかなり増え、現代の学者による別の角度からの法哲学解釈を知ることができました。

去年一年間において、私は主にドイツ哲学者アーレントの理論及び著作を中心に、研究していましたが、今年はアーレントだけではなく、ハーバーマスやバトラーといった現代哲学者への関心も一層高まりました。より純粋な理性議論及びロジカルな論証に興味を持ちはじめました。

論文の書き方においても変化がありました。今年に入り、私は論文全体の構造をより俯瞰的に見えるようになり、各部分の繋がりや論の骨組みをより重視するようになりました。7月のゼミ発表を通して、現在の論の組み立て方にいろんな問題点があることを学びました。これからはより文全体の構造を考慮しながら、執筆していきたいと思います。

2022年下半期は発表と講義が集中する時期になります。9月では私のいる大学が主催する若手研究者フォーラムに参加し、全体主義体制下の生得的権利の不在をテーマに発表をする予定です。生得的権利とはカントの主張する概念であり、アーレント以外の哲学者の内容を正式な発表において取り扱うのは初めてなので、自分にとっていい経験になれることを期待しております。

そのほか、9月では、本学哲学講座『メタフュシカ』において文献紹介を発表する予定で、現在はそれに向けて執筆しております。私が紹介したいのはアーレントの博士論文でもある『アウグスティヌスの愛の概念』で、彼女の理論の原点をいろんな人に伝えられたらと思います。また同月においてはカント正義論についての講座及び大阪哲学ゼミナールにも参加する予定です。

 

生活面

生活面において、今年はたくさんの素敵な出会いに恵まれました。研究室に新しい仲間が入り、お陰様で哲学に限らず他学科、他分野の文献にも興味を持ちはじめました。読書会や学内のイベントに参加し、いろんな方と交流を深めました。知り合った友人と定期的にzoomでお話をしたり、近況報告したりして、コロナ禍での留学生活ですが、あまり寂しさを感じていませんでした。

今年3月で英検試験に参加し、一級を取得しました。また、博士後期課程の進学に備え、日々ドイツ語の勉強をしております。大学時代は法学を専攻していたので、最近は研究のため昔の教科書を読み直し、同じ内容でも違う角度から読むようになったと気づき、自分の成長を感じました。

コロナ禍で活動が制限されている状況のなか、いろんなところに行って直に当地の文化に触れることが難しくなりました。今は趣味に没頭したり、公園の野良猫に会いに行ったりするのが日々の楽しみです。週末は友人と会って、一緒に遊んだりもしていました。去年日中友好協会のイベントで知り合った友人ともたまに連絡を取ったり、日本語や中国語での交流をしてました。研究もプライベートもとても充実しております。

 

これからについて

来年は現在所属する研究室で博士後期課程に進学する予定です。今はそれに向けて勉学に励んでおります。これからはより国際化の環境で活躍できるよう、語学の勉強をさらに強化したいと思います。

コロナ禍や政治情勢などで、不穏な雰囲気が世界に満ちていますが、人の苦しみと痛みと向き合いながら、自分ができるることは何かを考え、限りある人生を楽しく、全力で生きて参りたいと思います。

公園の猫さん